東大王とAIが「クイズで対決」ガチンコ勝負の結末 人間も驚く能力の高さと欠点が浮き彫りに

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1月26日、キオクシア本社(東京)の会議室で、予選を通過したチームと人気テレビ番組「東大王」で活躍した鶴崎修功さんなど日本のトップクイズプレイヤーによるエキシビジョンが行われた。

「クイズAIが一般に公開できるレベルになった」(大会実行委員の鈴木さん)ことから、初の試みとしてYouTubeでリアルタイム配信もされた。

東大王 AI クイズ キオクシア
東大王の鶴崎修功さん(左)、クイズ作家の矢野了平さん(真ん中)、クイズプレイヤーの徳久倫康さん(右)(写真:筆者撮影)

AI3チームと人間3人が対戦した早押し部門は、AIはそれぞれ1問につき4度まで回答できるルールとし、人間側に実質的なハンデがついた。1戦ではコールセンター受託運営ベルシステム24ホールディングスのチームが開発したAIが人間を圧倒するスピードで正答を連発、勝利を収めた。

ハンデをなくして人間とAIが同条件で競った2戦目は、人間が連携し、AIの回答ポイントを見抜いてその直前でボタンを押すなどして巻き返し勝利した。

年号を聞いただけで正しい答えを出力するAIに対し、人間の回答者が「よく覚えているなあ」と嘆息すると、司会者が「正確には学習したんです」と切り返す一幕もあった。

3戦行われた早押し対決では人間が2勝した。同部門では人間と互角に戦い、対決を盛り上げたベルシステム24ホールディングスが開発したAIが優勝に選ばれた。

ベルシステム24ホールディングスのチームは、クイズの問題とWikipediaを覚えさせ、6、8、11、14など決まった文字数で回答を計算し、正しいだろうと判断したときに出力するように設計した。

チームリーダーの金本勝吉さんは「コールセンターで経験豊富なオペレーターは、過去に聞かれた内容から足りない情報を補って対処するのが上手。早押しクイズAIの開発は、必要な情報が欠落している質問に対応することも多いコールセンターの実課題に近い」とコメントした。

AIは早押しで「日本でトップ5の実力」

大会実行委員会のメンバーで、人間側として早押し対決に参加したクイズプレイヤーの徳久倫康さんは「今回は僕たちがAIの動きを学習して対応したが、AIがさらに自分たちに対応してきたら、もう勝てないと思う」と苦笑いした。東大王の鶴崎さんは「早押しクイズでは、日本で5本の指に入る」と評価した。

東大王 AI クイズ キオクシア
早押し対決では正答が公開された後に、AI3チームが回答した場所が表示された(写真:公式YouTubeより引用)
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