異様に眠れる人気ビジホ・スーパーホテルの実態 月額200万円のクレーム保証で顧客の声を聞く

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スーパーホテルが選べる枕サービスをスタートしたのは2004年のこと。

理由について星山氏は、「『安全・清潔・ぐっすり眠れる』は当ホテルの創業時のコンセプトです。夜ゆっくり眠れないと、次の日の仕事や観光に差し支えます。さらに、ホテル滞在時間の7、8割は睡眠時間ですから、その満足度が高ければ、顧客満足度も高まるという狙いもありました。だったら、予算上広い客室や豪華な設備は造れなくても、寝具にはこだわろうと決めたのです」と語る。

その一環として、枕もさまざまな高さや硬さを試したが、最終的に、「枕は人それぞれに好みが違う」という結論に至ったそうだ。「私達が『これが最高』と思っても、人によっては合わないとクレームが上がってきました。それなら、自分に合った枕を選んでもらったらいいんじゃないかと」。

高さや硬さ、素材が少しずつ異なる8種類のラインアップ(写真:スーパーホテル提供)

枕だけじゃない! 快眠への徹底アプローチ

眠りへのこだわりは枕だけにとどまらない。2004年には、ゲストが「ぐっすり」眠ることができ、翌朝には「すっきり」万全の体調で1日をスタートできる眠りを目標に、「ぐっすり研究所」を社内に立ち上げた。大阪府立大学名誉教授 清水教永氏と共同で眠りの検証実験を行い、さまざまな角度から快眠へのアプローチにつなげている。

例えば、マットレスは有名寝具メーカーと共にオリジナル開発したものだ。耐圧が分散しやすく、寝返りが打ちやすいコイル式の高反発タイプ。こちらも購入希望者が多いため、ECサイトで販売している。

客室のマットレスは、耐圧が分散しやすく、寝返りが打ちやすいオリジナルだ(写真:スーパーホテル提供)

高いリラクゼーション効果に加え、お湯に溶け込んだ成分が、疲労回復や美肌などの効果をもたらしてくれる天然温泉もその一つ。また、フロントは明るく、廊下は若干暗く、客室はさらに暗く……と、段階的に照度を落とす設計も、科学に基づいた自然な入眠のための仕掛けだという。

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