買収した富豪もお手上げ「大手メディア」の惨状 デジタルで復活に期待も、赤字のオンパレード

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スンシオンの広報担当者は、LAタイムズの具体的な財務数値にはコメントしなかったが、昨年からの人員削減やその他の経費節減策をもってしても「収入と支出には大きな溝がある」と電子メールで述べた。

この広報担当者によれば、LAタイムズを買収して以来、スンシオン家は毎年「数千万ドル」を同紙につぎ込んできたという。「彼らは投資の続行にコミットしている。ただ、毎年毎年、寛大なオーナーに頼って経費を賄うなどという長期計画はあり得ない」と声明で述べた。

ベゾスのワシントン・ポストも左前

ワシントン・ポストにおけるベゾスの成績も似たようなものだ。ポストも多くのニュースメディアと同様、2020年の大統領選挙後の勢いを維持するのに苦労している。購読料と広告収入の低迷から昨年は約1億ドルの赤字となり、年末には2500人の従業員のうち評判の高いジャーナリストを含む240人を早期退職制度によって解雇した。

昨年ポストの最高経営責任者(CEO)を一時的に代行したパティ・ストーンザイファーは、今回の人員削減は「難しい」決断だったとしながらも「成長という当社の最優先目標への投資」に必要なことだったと述べた。ポストの従業員はここ数週間の間に、人員削減に伴う取材力不足に懸念を示す書簡を編集主幹のサリー・バズビーと常任のCEOに新しく就任したウィル・ルイスに送った。

タイムも同様の逆風に見舞われている。タイムの財務状況を知る2人の関係者によると、2023年の損失はおよそ2000万ドルに上った。この関係者のうちの1人は、タイムは赤字を部分的に埋めるために、今年の第1四半期にコスト削減策を講じることを検討しているという。

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