買収した富豪もお手上げ「大手メディア」の惨状 デジタルで復活に期待も、赤字のオンパレード

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「富は、多くのメディア企業を苦しめている深刻な課題からオーナーを隔離してくれるものではない。(新たなオーナーが)億万長者であることは問題解決を予告するものではなかったのだ」

ハーバード大学のニーマン・ジャーナリズム財団でキュレーターを務めるアン・マリー・リピンスキーは、「しばしば従業員たちが、こうしたオーナーたちに浅はかな期待を寄せるのを目にしてきた」と語る。

大リストラに震えるLAタイムズ

損失が最も切迫した影響を与えているとみられるのがLAタイムズで、所属のジャーナリストたちは悪いニュースに身構えている。LAタイムズの編集長として広く尊敬を集めていたケビン・メリダは先日辞任を発表したが、事情に通じた2人の関係者によると、これは編集とビジネスの優先順位をめぐってスンシオンと対立した末の決断だったという。

昨年の半ば時点でLAタイムズは2023年に3000万〜4000万ドルの赤字になる見通しになっていたと、こうした予測数字を知る3人の関係者が語っている。同社は昨年、74名ほどの人員削減を行ったが、別の2人の消息筋によると、ここ数日、経営幹部が大規模な人員削減の可能性について話し合っている。

LAタイムズの労働組合は18日に緊急会議を招集し、新たな「大規模」レイオフの可能性について話し合った。従業員宛の電子メールには、「今回は大規模なものになる」と書かれていた。

緊急会議の席上、労働組合の代表は、今回の人員削減案が実行されればLAタイムズの規模はスンシオンが買収したころと同じくらい小さくなり、何年と続いていた報道スタッフ拡大の流れは覆ることになる、と語った。

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