ほかにも『源氏物語』には、不倫の話がいくつも出てきます。
源氏と人妻の空蝉(うつせみ)との関係、また朧月夜(おぼろづきよ)は源氏の兄・東宮(朱雀帝)の婚約者でしたから、これも不倫のようなものでしょう。
「若菜(わかな)下」の帖には、じつに、光源氏の妻がほかの男性と契った話が書かれています。頭の中将の息子・柏木が女三の宮(源氏の妻)と密通し、不義の子(薫)が産まれてしまうのです。何か、光さん、「しっぺ返し」をくらった感じですね。
『源氏物語』には、そうした場面が数多く出てくるわけですが、1000年前の読者もハラハラ、どきどきしながら読んだのだと思います。
「通い婚」というまかふしぎな結婚形態
「通い婚」というのが、そもそも怪しい。まかふしぎな結婚形態です。
極端な話が、週に一度か、月に何度か、通ってくる男が、「じゃあ、またね」と帰ってしまい、別れてすぐに、別の男が通ってくる。そんなこともありうるような……和泉式部の異性との付き合いぶりを見ていると、その可能性はおおいにあったような気がするのです。
また、当時の宮廷に仕えた女房らの多数が、殿中を往き来する男たちと密事を交わしていた。それも1人や2人ではなく、何人も、と。
要は、「相当に乱れていた」というのです。
識者もその辺りのことは皆、相応に興味を覚えるとみえ、いろいろと指摘しています。
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