「日経平均2万円」でも、株を買っていいのか 投資する時の「リスクのとり方」を教えよう

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しかし、現実の運用を考える場合には、「自分の判断はどのくらい正しいのか」という程度を調整しなければならない。

例えば、長期的な平均リターンよりも「上」と判断した時に、実際に「上」になるか、「下」と判断した時に「下」になるのか。的中率はいかほどなのか。

これから「株を買ってもいい」投資家の条件とは?

率直に言って「当たり外れは半々」というのが謙虚で客観的な推定値だろう。強気すぎる想定だが10回予想して6勝4敗という人を想定するなら、予想と現実の相関係数は+0.2となる。

この人が相場を普通よりも「+10%」あるいは「−10%」と予想した場合、最終的な期待値としては標準である5%に+2%か−2%の調整を施すのが、まあまあ妥当な加減ということになる。リスク資産の組み入れ率は前者(強気)の場合で70%、後者(弱気)の場合で30%くらいになる(シンプルな計算前提を置いた場合)。

実際には、予想と現実の相関は0.2よりもずっと小さいと想定することが妥当なので、「普通よりも±10%!」という判断を持った場合でも、リスク資産の増減は、比率にして数%からせいぜい10%くらいが妥当な値になる。

そもそも株式投資は企業に「資本を提供して、応分の利益を受け取る行為」なので、第一義的には、株価が割高でも割安でも(実際には正確に分からないわけだが)「利益を稼ぐ期間を企業に与えるために」株式を保有していなければならない。また、将来の株価に対する判断は運用に反映させても構わないが、「自分の判断の信頼度」を調整した上で、反映させる必要がある。

つまり、運用計画の調整は必然的に中途半端な印象のものになるし、それでいいのだ。

株価は上昇したが、自分にとって「標準」(普通の状態ならこれくらい持つ)と思えるリスク資産組み入れ率がそこそこにあって、現在全くリスク資産を持っていない投資家は、これから株を買ってもいい。先のことはわからないけれども、リスクを取って資本を提供していれば長期的には報われるだろうと考えて気長に構えるのが投資の基本だ。

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