「日経平均2万円」でも、株を買っていいのか 投資する時の「リスクのとり方」を教えよう

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さて、例えば一般投資家向けの講演会のような場でこのような株価についての現状認識を説明し、さらに個人投資家にとっての運用方法を説明すると、「あなたは株価が高値圏にあると考えているのに、どうして運用方法として株を買うことを勧めるのか。意味がわからない!」と質問し出す人が現れることがある。

ちなみに、筆者が普通の個人投資家に勧める運用方法は、リスク資産と無リスク資産に運用資産を分け、前者で国内株式と外国株式のインデックス・ファンド(特に国内株はETFが良い)を50%ずつ、あるいは国内株40%、外国株60%くらいで投資し、無リスク資産では普通預金ないしMRFと個人向け国債の変動金利10年満期型を買えばいいというものだ(詳しくは拙著「全面改定 超簡単お金の運用法」(朝日新書)などを参照)。

リスク資産は内外の株だけで運用する方法であり、ある程度(「標準」だと思う投資金額の上下2割位まで)の増減はあっていいとしているが、原則として一定以上の投資額を維持することを勧めている。人によっては、この中途半端感が気に入らないようだ。時には「あなたは株価が高いと思っているのか、安いと思っているのか? 今は売りなのか、買いなのか、はっきりしなさい!」と怒り出すことがある。

なぜ「中途半端」が正しいのか

だが、怒っても運用の問題は解決しない。「中途半端」の背景をご説明しよう。

株式に期待出来るリターンについては、「無リスク資産の金利プラス5%くらい」と説明している。正確な数字は誰もわからないが、機関投資家の運用計画等から見て、まあまあ妥当な水準だろう。現在は、ほぼゼロ金利だから、「普通の状態でリスク資産の期待リターンは5%だ」と考えることにしよう。

もちろん内外のインデックス・ファンドで投資してもリスクはあるから、5%(期待値)を中心に30%〜40%くらいの幅の中に現実のリターンが現れるだろうと考えて運用計画を作ることになる。

さて、ここで「強気」あるいは「弱気」の判断はどのような意味を持つか。たとえば、5%に対して、+10%あるいは−10%を加減した数値が、判断者が最もありそうだと思う将来の期待値だとしよう。強気の場合で15%、弱気の場合で−5%が期待リターンになる。運用計画はどう変わるか。

例えば、リスク資産の期待リターンが5%の時に、リスク資産を50%組み入れていた運用計画であれば、期待リターンを15%とするとリスク資産の最適組み入れ率は100%を超える計算になるし、−5%とするとマイナスになる。借り入れによるレバレッジや空売りを認めないとすると、100%か0%の二択だ。これなら、件の講演会の質問者も満足してくれそうだ。

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