その後、高田馬場の「ぶぶか」にも通い、だんだんと油そばが身近な食べ物になっていった。筆者が大学を卒業した2003年から数年も、このエリアの油そばといえば「東京麺珍亭本舗」「ぶぶか」が二大巨頭だっただろう。卒業前にはこの2店のヒットに乗じてか、早稲田に油そばの店が増えてきた。
それから20年、このエリアの油そばはほとんど意識せずにいたが、近年さらに油そば人気が過熱していると聞き、最初は本当に驚いた。しかし、今回事情を取材してみると、「なるほど、これは時代の要請なのだな」と痛感した。
早稲田の場合、近いエリアの中で4つ(早稲田・戸山・西早稲田・喜久井町)のキャンパスが隣接しているという背景があるため、他の学生街でもこのようなドミナント戦略が取れるかはわからない。
しかし、ラーメンの「1000円の壁」問題が今後も残るなかでは、値上げが容易ではない学生街において、油そばへのシフトが続いていくのは間違いないだろう。
早稲田に広がるワード「給油する」とは?
最後に、早稲田に広がる「給油」という言葉を紹介したい。早大生は「油そばを食べる」ことを通称「給油する」という。これは筆者が通っていた頃にはなかった言葉だが、油そば人気をそのまま表したような言葉だ。
その他、「キッチンオトボケ」や「わせだの弁当屋(通称わせ弁)」など揚げ物メインの定食屋でも使われる言葉だそう。
早稲田に広がるべくして広がった油そば。学生のニーズとラーメン業界の今の課題を捉えた戦略には、大きな学びがある。
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