「どうせ社会は変えられない」諦めている人の盲点 田内学×近内悠太「お金と贈与」トーク【後編】

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近内:資本主義が悪いんだっていう気持ちは認めるけど、そうだとしたらじゃああなたは具体的に何をするんだ! ってことですよね。

社会がどうかっていうのは置いておいて、あなたは何をするんだって問いに答えられる、準備ができている人をどこまで増やすかってことなんです。

田内:僕の本の中で伝えたいことは、1人ひとりが社会を作っているってところなんです。日本財団の「18歳意識調査」で、6カ国(日本、アメリカ、イギリス、中国、韓国、インド)の18歳にさまざまな質問をしたんです。

その中の1つに「自分の行動で、国や社会を変えられると思いますか」という質問があって、他の国は50%以上、多い国では80%近くの人がイエスって答えているけど、日本の場合はたったの27%なんですよ。

社会は人ごとで、自分では変えられないと思っている若者が多いのは、よくない傾向です。

遊び心が増えると優しい社会が作られる

近内:ある地域ではいまでも、徳を積むと死後の世界での安楽が約束されると考えられているので、困っている人を助けたくて仕方がないという状況が生まれるんです。

死後の世界で安楽が果たされるかはわからないし、それって結局自己利益のために他人を助けているだけでは? と思われるかもしれませんが、実際の世界では助け合っているように見えますよね。

田内:東南アジアのほうの考えですよね。

近内:同じように、日本も昔は助け合って生活していたんですけれど、今これを再び社会実装するのは相当難しいと思いますね。

ただ、「遊び心」を絡めた社会実装であれば、実現可能な気はしています。

元NHKのプロデューサーの小国士朗さんが以前企画された「注文をまちがえる料理店」というプロジェクトがありました。これはホールスタッフが全員、認知症の状態にある方々という、不定期で開催されるレストランでした。コンセプトは「まちがえちゃったけど、まあ、いいか」です。

注文や配膳をまちがえるかもしれないんですけど、それ自体がコンセプトのレストランですからお客さんもそれを許容するというか、その雰囲気自体を楽しめるわけです。そしてもちろん、この企画では認知症ケアの専門家の意見を聞き、それをきちんと反映させたそうです。認知症の当事者の方々への配慮も含めて。

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