「書店減少」嘆くのにネットで本買う日本人の矛盾 格差拡大の「真犯人」は僕たち自身かもしれない
「お金の本質を突く本で、これほど読みやすい本はない」
「勉強しようと思った本で、最後泣いちゃうなんて思ってなかった」
経済の教養が学べる小説『きみのお金は誰のため――ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』には、発売直後から多くの感想の声が寄せられている。本書は発売前から2万部の重版が決まった話題作だ。
著者の田内学氏は元ゴールドマン・サックスのトレーダー。資本主義の最前線で16年間戦ってきた田内氏はこう語る。
「みんながどんなにがんばっても、全員がお金持ちになることはできません。でも、みんなでがんばれば、全員が幸せになれる社会をつくることはできる。大切なのは、お金を増やすことではなく、そのお金をどこに流してどんな社会を作るかなんです」
今回は、小説内でも取り上げられている「未来への投票としての消費」という考え方を解説してもらう。
書店には「新しい発見」があふれている
30年前、「待ち合わせ」という言葉には、緊張感があった。
「明日の待ち合わせは、正午にBIGMAN前だからね」
気になっている女の子と約束をして、意気揚々と電話を切るのだが、内心は穏やかではない。本当に来てくれるのか不安になる。
まだ携帯電話が普及していなかった時代だ。黒電話の受話器を置いた瞬間から、会うまでは連絡をとることができなかった。
そのため、待ち合わせ場所はわかりやすい場所じゃないといけない。そして、時間厳守だ。時間どおりに行かないと、会えないおそれがある。それに、怒って帰ったのか、これからやって来るのか、すっぽかされたのか確認する手段がない。
BIGMANというのは、大阪の阪急梅田駅のそばにある大型スクリーンの名称。東京でいうところの、渋谷ハチ公前や新宿アルタ前のような待ち合わせのメッカである。
BIGMANで待ち合わせるときは、遅くとも30分前には到着していた。そして、待ち合わせ時刻の5分前まで、隣の紀伊國屋書店梅田店で時間をつぶすのが習慣だった。
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