出汁を取らない和食もたくさんある。そもそも、和食はとてもシンプルで、難しいものではない。
疲れているときには、顆粒出汁を使って味噌汁を作ってもいいと思うし、味噌汁は出汁を取らなくてもいいとも思っている。そんなことに罪悪感を持たなくていいと言いたい。
毎日みんな、仕事に家事に育児に忙しいはず。家でごはんを作る人は、もっとラクをしていい。
昔、味の素ができたばかりの頃のことを思い出していただきたい。
「簡単!」「お手軽!」と、どんどん使い始めたではないか。便利なものができたら、それを使うことは悪いことではないと思っている。
もちろん、僕のようなプロの料理人が、お店で出す料理に味の素を使うのはダメなのだが。
和食の「型」ってなんだ?
「白いごはんを中心に成り立っているもの」、これが、僕がイメージする和食であり、和食の「型」だと思っている。
何を置いても、やはり日本人の主食は「米(ごはん)」だろう。
白いごはんありきで、そこにどんなおかずを合わせるかを考える。白いごはんが真ん中にあるからこそ、味噌汁がおかずの筆頭にきたのだ。
味噌汁(汁物)以外には、その土地でその季節にとれる地場産の旬の食材や、季節の行事や風習にちなんだ料理が取り入れられたとしたら、もう立派な和食となる。
ほかにも、いろいろな発酵食品─味噌、醤油、お酢、納豆や漬け物─なども加えたい。
さらに、和食独特のうま味に欠かせない、昆布やかつお節、煮干しや干しいたけなどから取れる出汁。
これが揃えば、日本だけではなく、どこの国に行っても和食を作ることができると思っていい。
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