台湾次期副総統「戦猫」が見せる穏健な改革路線 さまざまな試練で磨かれた「即戦力」の政治家

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
民進党本部内で取材を受ける、次期副総統の蕭美琴氏(写真・蕭芃凱)
2024年1月の台湾総統選で民主進歩党(民進党)から賴清徳・総統候補とともに、副総統候補として出馬した蕭美琴。2024年1月13日の投票で当選を果たした。彼女は1971年に神戸で生まれた台湾人とアメリカ人のハーフだが、台湾で育った女性政治家だ。アメリカコロンビア大学で政治学修士を取得し、立法委員や国家安全会議諮問委員、駐アメリカ台湾代表を歴任した民進党きっての国際派である。

 

「道があれば、歌いながら進み、道がなければ、山河を越えよう」

この歌詞は台湾歌謡曲の帝王と称される王謝銘の「路」の一節だ。目の前に進むべき進路があれば歌いながら進めばいいが、ない時は一致団結して困難に立ち向かおう、という意味だ。

2021年1月、台湾初の女性駐米代表に就任して半年足らずの蕭美琴は、2020年の立法院選挙敗北から1年がたったこの日に、SNSにこう記した。

「10年の苦難もとりあえずピリオド。人生は新たな道のりがスタートしました。これまでと同様に山河のような困難が待ち受けているでしょう。しかし一歩一歩乗り越えて突き進みたいと思います」と、王の「路」を引用しつつ投稿した。

そして駐米代表として3年半の道程は、新たな転機を迎える。

2023年末の副総統候補の政見発表会で彼女は再び「路」を引用し、台湾外交が直面する困難について語ったのだ。その姿は、すでにアメリカから絶賛された外交官ではなく、民進党の総統候補である頼清徳氏のパートナーに変わっていた。彼女の目の前には依然としていばらの道が続いているが、歩みを止めないと語ったのである。

最も影響力を有する大使に成長

「私の役割はつねに変化してきました」。蕭美琴が台湾『今周刊』のインタビューで、そのように自身の「特殊な経歴」を語った。

台湾南部で育ち、台北で立法委員になって、その後民進党から台湾東部・花蓮の選挙区を開拓するように命じられ台湾中を駆け回った。その後、外交官としてアメリカに派遣され、台湾の政治家の中でもまれな経験を有する。「私は、経験から事象は複雑であることを理解し、物事は多面的に見るようにしています」と語る。

蕭美琴の政治家人生はまさに、山河を乗り越えんばかりの状態が続いている。

若い頃は、党内で国際事務が専門の人材だった。その後台北から立法院選に出馬し、議員にもなっている。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事