台湾次期副総統「戦猫」が見せる穏健な改革路線 さまざまな試練で磨かれた「即戦力」の政治家
「道があれば、歌いながら進み、道がなければ、山河を越えよう」
この歌詞は台湾歌謡曲の帝王と称される王謝銘の「路」の一節だ。目の前に進むべき進路があれば歌いながら進めばいいが、ない時は一致団結して困難に立ち向かおう、という意味だ。
2021年1月、台湾初の女性駐米代表に就任して半年足らずの蕭美琴は、2020年の立法院選挙敗北から1年がたったこの日に、SNSにこう記した。
「10年の苦難もとりあえずピリオド。人生は新たな道のりがスタートしました。これまでと同様に山河のような困難が待ち受けているでしょう。しかし一歩一歩乗り越えて突き進みたいと思います」と、王の「路」を引用しつつ投稿した。
そして駐米代表として3年半の道程は、新たな転機を迎える。
2023年末の副総統候補の政見発表会で彼女は再び「路」を引用し、台湾外交が直面する困難について語ったのだ。その姿は、すでにアメリカから絶賛された外交官ではなく、民進党の総統候補である頼清徳氏のパートナーに変わっていた。彼女の目の前には依然としていばらの道が続いているが、歩みを止めないと語ったのである。
最も影響力を有する大使に成長
「私の役割はつねに変化してきました」。蕭美琴が台湾『今周刊』のインタビューで、そのように自身の「特殊な経歴」を語った。
台湾南部で育ち、台北で立法委員になって、その後民進党から台湾東部・花蓮の選挙区を開拓するように命じられ台湾中を駆け回った。その後、外交官としてアメリカに派遣され、台湾の政治家の中でもまれな経験を有する。「私は、経験から事象は複雑であることを理解し、物事は多面的に見るようにしています」と語る。
蕭美琴の政治家人生はまさに、山河を乗り越えんばかりの状態が続いている。
若い頃は、党内で国際事務が専門の人材だった。その後台北から立法院選に出馬し、議員にもなっている。
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