台湾次期副総統「戦猫」が見せる穏健な改革路線 さまざまな試練で磨かれた「即戦力」の政治家
頼清徳が彼女を説得するうえで、とくに重視したのが彼女の特殊な経歴と、唯一無二の人生経験である。その中には彼女の国際実務への考えと手腕も含まれている。当選就任後は総統を全力で支えるが、当面の目標は全力で選挙戦を戦うことだ。
一方で、選挙で問われるのは未来だけではない。過去についても問われる。今回の選挙では、民進党はかつてのような若者票のアドバンテージはない。多くは民衆党の柯文哲に流れていると見られ、潜在的脅威になっているという。
「なぜ8年も支持したのに、これからも支持しなくてはいけないのか」「民進党に投票して何か変わるのか」。こうした意見を持ち、民進党に不満を募らせる若者が多くいるのだ。
若者と政治家との対立の中で
このような意見に対し、蕭美琴は次のように答えている。
「私も若い頃は今の若者と同じでした。これまでと違うものを求め、新しいものが好きでした。また、批判的精神も高かった」
彼女はアメリカのシリコンバレーとワシントンを例に説明を続ける。1つは世界のイノベーションの中心であり、もう1つは政治権力の中心。それぞれの文化は大きく違い、若者と政治家との対立にも現れているという。
イノベーターは多くの新しい考えを生み出し、人々の未来への希望をかき立てる。しかし忘れてならないのは、シリコンバレーでの成功話の裏には、多くの失敗例もあるということだ。
だが、これがイノベーションの特質であり、失敗を繰り返しながら最適解を探し出していくことになる。
「しかし、ワシントンは失敗をあまり多く受け入れられない場所です」
彼女は政治家だった頃、1つの問題を解決すると、同時にもう1つの問題が発生することを知った。とくに改革などのプロセスにおいては、どのような方法で問題解決を図るか、そしてバランスを取るか、経験の積み重ねが必要なのだ。
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