能登地震で今なお電源切れ「地上波テレビ」の限界 過疎地向け小規模中継局はなぜ復旧に遅れ?

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もっとも、電力供給が途絶えた輪島市内にある中継局でも、予備電源を追加して放送を継続できている施設もある。

現在稼働できているのは、約5500世帯を対象とする輪島地域、約1400世帯を対象とする東門前地域向けの中継局だ。輪島地域向けの中継局は山の上に立地しているが、自衛隊などがヘリコプターで中継局まで直接赴いたうえで、燃料を補給することに成功した。東門前地域の場合は、陸路経由で直接現地まで到達することが可能だったという。

石川県輪島市における地上波テレビの被災状況

これに対し、復旧が遅れているのは、冒頭の町野地域と、約30世帯を対象とする日本海の離島・舳倉地域(NHKは除く)向けの中継局だ。共通するのは、過疎地を対象とした小規模中継局であるということ。中継局は山の上に立地し、非常用電源として備わっていたのは、発電機よりも短時間しか持たないバッテリー電源だった。

総務省地上放送課の担当者は「輪島地域のようにカバー範囲が広い大規模局には発電機が設置され、タンクに一定の燃料も貯められる。一方、町野地域のように小さなバッテリーで対応する局は、ヘリで行けたとしても継続支援を行うのが難しく、商用電源の復旧を待つしかない状況だ」と説明する。

端的に言えば、復旧が遅れている中継局は、規模が小さい分、非常用電源の設備も相対的に脆弱だったということだ。

東日本大震災後に対策強化

これまで放送局側は、2011年の東日本大震災の教訓を踏まえ、災害発生時を想定した中継局の停電対策には力を入れていた。

東日本大震災では最大120局が停波し、完全復旧に至るまで3カ月弱を必要とした。停波の原因は、中継局の損壊よりも、停電などで電力供給が絶たれたことが大多数を占めた。

総務省は、放送局に対して、停電しても放送に著しい支障を及ぼさないように、中継局には予備電源として自家用発電機やバッテリーを設置したうえで燃料備蓄や補給手段の確保に努めるよう求めた。放送局側も対策を強化してきた。

その後の熊本地震(2016年)では、テレビ放送の一部停波があったものの、1日以内に復旧。ブラックアウトに陥った北海道胆振東部地震(2018年)でも、7割超の中継局が停波を回避した。放送の防災対策に詳しい東北文化学園大学の鈴木陽一教授は「東日本大震災以降の十数年で(中継局の)強靭化が進み、非常用電源もしっかり備えていた。この間の努力は功を奏している」と評価する。

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