なぜ吉野家の「チョイ飲み」店は人気なのか? 顧客の「行動観察」で見えてきた!
ビッグデータの時代が来たことで、膨大な情報を取得し、即座につなぎ合わせて、そこから意味を読み解くことができるようになりました。
だからこそ今、単に関連している事象、つまり相関関係を、原因と結果の関係、つまり因果関係だと勝手に結び付ける落とし穴にはまらないよう、一層留意しなければなりません。
そのための方法として、今、「行動観察」にあらためて注目が集まっています。なぜならば「行動観察」は、因果関係を事実からとらえるうえで強力な武器だからです。
そこで本稿ではビッグデータ時代の行動観察についてご説明いたします。
「吉吞み」を観察する
行動観察を理解するには、まず実際に行動観察をフィールドワークで行ってみるのがいいと思います。私が実際に行った例をご説明します。
「この居酒屋、吉野家の新業態らしいけれど、うまくいくだろうか? 観察しながら飲んでみよう」
2014年7月、都内品川区の西五反田1丁目交差点近くに、吉野家の居酒屋新業態「吉呑み」ができたことを聞きつけ、会社のスタッフ2人とともに飲みに行きました。この店は「吉呑み」3店目の実験店舗といいます。
昼間は通常の牛丼店として営業し、1階は牛丼店のまま、2階だけ夕方から“チョイ飲み店”に切り替わります。吉野家で提供している牛丼はもちろん、生ビールや角ハイボール、焼酎のほか、まぐろの刺身や、牛煮込みなども300円台で楽しめる手頃な価格が売りのようです。
時刻は19時すぎ。入店して階段を上がり、到着した2階を見渡すと、すでに20~30歳代前半の男性客が4人席に3グループほどいます。テーブルの上を見ると飲み干したビールジョッキが2、3置いてあり、食べ物の皿はそれほどありません。
そんなふうにひととおり眺めながら、私たち3人は席に着きました。
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