子どものお年玉「貯金させる親」が少し残念なワケ 「お年玉でホクホク」の子に親が伝えるべきこと

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結果がどうなったかはマンガ本編にまかせることにしますが、いくるがお金の使い方やその大切さを学んだことは言うまでもありません。

モノ経済からカネ経済になってしまった現代社会

以前、大阪大学社会経済研究所特任教授の小野善康氏からお話を伺ったのですが、戦後復興から高度経済成長を迎えるまでの日本はモノが不足しており、消費選好の社会(モノを欲しがる傾向が強い社会)だったそうです。

ところが、現在のように経済が成熟してくると、ある程度物質的に満たされており、資産選好の社会(モノを消費することではなくカネを持つこと自体を目的化する社会)になっているといいます。

資産選好の社会に慣れてしまうと、「人生ゲーム」のようにお金を増やすことが目的になっても、違和感を覚えなくなってしまいます

しなのんちのいくる3
『しなのんちのいくる3』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

マンガ『しなのんちのいくる』の舞台となる1980年代の日本は、バブルがはじける前で、世の中はまだ消費を好んでいた時代。大人たちも今ほどは貯金に回すことなく消費を楽しんでいたので、いくるのような子どもも、大金をどのように使えば自分が幸せになるのかを自然と考えていたのだと思います。

ところが、現代社会ではお金の使い方を学ぶ機会が明らかに減っています。将来、お金の使い方で失敗させないためにも、親がかけるべき言葉は「将来のために貯金しとこうね」ではなく、何にお金を使ったらいいのかを一緒に考えたり、「貯金するくらいなら没収します」くらいのことを言ったほうが、子どもの教育になると思うのです。

田内 学 お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家

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たうち・まなぶ / Manabu Tauchi

お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家。2003年ゴールドマン・サックス証券入社。日本国債、円金利デリバティブなどの取引に従事。19年に退職後、執筆活動を始める。

著書に「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」総合グランプリとリベラルアーツ部門賞をダブル受賞した『きみのお金は誰のため』のほか、『お金のむこうに人がいる』、高校の社会科教科書『公共』(共著)などがある。

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