グローバル時代の成功のカギはダイバーシティ~「アジア内需」のチャンスを生かす《6・最終回》BOPビジネスの成功には多様性を受け入れる組織が必要

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 他にダノンやヤクルトは、製品が子供の栄養改善に貢献するだけでなく、現地の女性を販売員として雇い、低所得層の女性雇用の向上も狙っている。

啓蒙活動とあわせたビジネスもある。低所得層はせっけんを使わないで手を洗う人が多い。ユニリーバやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、せっけんを使って手を洗う啓蒙活動を行いながら、せっけんを販売し現地の衛生環境の向上に貢献している。

リーバイ・ストラウスのインド法人は低所得者層でも購入できるよう分割払い制度を導入し、収入が低い人でもジーンズを手に入れやすくした。

その他、電気のない地域でのソーラーランタン、無煙バイオ燃料ストーブ、飲料水の水質浄化剤などのビジネスもある。

欧米企業ではBOPビジネスに10年ほど前から積極的に取り組んでいる。こうしたビジネスに取り組む最大の理由は、将来、この低所得層が中間所得層に成長し、膨大な購買力を持つと期待されるからだ。

各社とも将来の巨大マーケットをにらみ、現地のNPOや優秀な現地社員など多様な人材を活用して、着々と布石を打っている。

一方で多くの日本企業はようやく取り組みを始めた段階で、欧米に比べるとかなり出遅れている。もともとNPOなどとの連携はあまり得意でなく、現地の人材の活用も含め、多様性を活かしたビジネスはうまくない。今のままではブームに乗ってBOPビジネスに進出しても失敗するケースが多くなると予想される。

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