「現状維持」という意識が会社をダメにする

日立製作所相談役・川村隆氏に聞く(後編)

――どんな社員が増えるといいと思いますか。

われわれの会社の社員の現状の構成を見ると、ちょっと特殊ですが、理系の人が約8割くらいでしょうか。とはいえ、電気系の会社や、モノを作っている会社は、割合、みんなそうでしょう。

困っていることといったら、やはり“リケジョ”がなかなか採れないことです。“リケジョ”はこれからものすごく必要なのですが、たとえば「生物系のリケジョ」や「医学系のリケジョ」は多いのですが、「機械系のリケジョ」や「電気系のリケジョ」は、そもそもあまりいないのです。ましてや「原子力系のリケジョ」となると……、だから非常に困っています。

リケジョにどんな部門で活躍してもらいたいかといえば、答えは「Everywhere」、どこでもです。今、たとえば日立建機にいる女性は、新しく作った大きな800トンの油圧ショベルの「転倒」に関する研究開発をやっています。油圧ショベルで、石炭を掘ったり、露天掘りをやるときに、何百トンという石炭をつかむわけです。

そのとき、転倒が起こりやすいものなのですが、それをどうやっても転倒しないようにするにはどうすればよいか、ということを研究開発しています。大学のドクターコースを出て、会社の中の研究開発の仕事に就く人も、少しずつではありますが出てきました。そういう人を、もっと増やしていかなければいけないな、と思っています。

それも、「リケ“ジョ”」に増えてほしいと思っています。「リケ“ダン”」は当たり前すぎますし、これまでの「リケ“ダン”」のスタイルではダメだと思っているからです。要するに、昔の男性の「残業なんかは、何時間でもやってもいい」「真夜中まで働いて……」というスタイルでは、この後、会社を続けていくことはできません。

違った考え方に触れ、先入観を壊せるか

これから、外国の人もたくさん職場に入って来るはずです。そんなときに「毎日22時23時まで働け」などと言っても、誰も従ってくれないでしょう。みんな17時に帰ります。17時に帰宅して、家族と晩ご飯を食べようとするでしょう。遅くまで働かないといけないような会社は、嫌だと言うはずです。「17時に帰宅しても仕事が回るように、いろいろなことを工夫します」と言ってくる人もいるはずです。

そういう外国人と、この後、混ざり合って仕事していくようになるのです。だから、その前の段階で、日本の女性と一緒に仕事をして多様性の効果を実感しておかなかったら、おかしい、ということです。

女性と一緒の職場では、自然と「17時には帰宅しないといけない」「急な出張は難しい」「17時に帰れず保育園に迎えに行けないときは、別の手段を講じてください」ということに、会社として対応する必要が出てきます。会社としては、保育園に迎えに行く係をつくるとか、あるいは○時以降は別の人に仕事を引き継ぐなどするといった具合に、とにかく仕組みを考えないといけません。そういう対応をしておかないと、会社が成り立たなくなる状況がくると思います。

やはり、「ちょっと考えの違う人が入ってくる」ということが、ものすごく大事なことです。われわれも、取締役会に違う考えの人をわざと入れて、どれぐらい“日本人男性”の凝り固まった先入観を壊せるか、という試みに取り組んでいます。まだその途上ではありますが。

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