日立、英国で近郊車両を受注した意義 鉄道ビッグ3の背中は見えたか?
日立製作所が、英国で鉄道事業の橋頭堡を着々と築いている。同社は3月12日、英スコットランド向け近郊車両の70編成234両と10年間の保守契約を結んだと発表した。受注金額は車両と保守を合せて700億から900億円とみられている。
2009年から運行を開始しているロンドンと英仏海峡トンネルを結ぶCTRL(高速新線)、2012年に受注したIEP(都市間高速鉄道車両置き換え計画)など、日立は英国で着実に実績を積み上げてきた。特にIEPは866両と27年半にわたる保守事業で、受注総額は約1兆円と規模が大きい。
IEPと比較すると、今回の案件は金額面では大きな案件ではない。しかし、戦略的に鉄道事業を進める欧州で近郊車両を初めて受注したことに意義がある。
標準型の近郊車両は好採算
車両はスコットランドのエディンバラ―グラスゴー、スターリング―アロア―ダンブレーン路線で使用される。日本でいうと東京と八王子を結ぶ中央線のような中距離で、通勤にも利用される路線だ。
納入する70編成のうちプロットタイプを含む最初の7編成は笠戸事業所(山口県下松市)で製造し、2016年半ばにも英国へ向け出荷をする。残りの63編成は、現在建設中の英国北東部のダーラム州のニュートン・エイクリフ工場で製造される。2017年にも運行を開始する計画だ。
日立は英国の近郊車両事業に参入するため、英国向けの標準型近郊車両「AT-200」を2014年7月に開発していた。英国をはじめ欧州では各メーカーが標準車両を作り、カタログ販売するのが主流。鉄道会社が決めるのは内装や内部の設備、色などだ。部品や製造方法など基本的な所は同じため、効率的で利益率も良い。
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