日立、大型買収で念願の欧州鉄道事業に進出 鉄道ビッグスリーの牙城に食い込めるか
「鉄道事業を拡大するうえで、たいへん重要な位置づけとなる」
2月24日、日立製作所の中西宏明CEO(最高経営責任者)は、そう興奮ぎみに語った。イタリアの防衛大手フィンメカニカ傘下にある鉄道関連2社の買収だ。
ビッグスリーの背中が見えた
鉄道信号事業のアンサルドSTS(STS)の株式の40%と車両事業を行うアンサルドブレダ(ブレダ)の大半の事業を、今年後半に取得することで合意した。上場しているSTSは1株9.65ユーロで買収金額7.73億ユーロ(約1044億円)、残りの株式についても正式契約が締結された後に公開買い付け(TOB)を行う。ブレダはフィンメカニカが保有する不動産を一部含め3600万ユーロ(約48.6億円)の買い取り価格となっている。合計買収金額は約2600億円となる見込みで、日立にとって過去最大の買収案件だ。
日立の狙いは欧州大陸への進出だ。国内市場は成熟しており、海外に活路を求めていた。欧州鉄道産業連盟の予測によれば、2015~17年の年平均の鉄道産業(車両や保守、信号など)の市場規模は約23兆円で、うち欧州が46.4%を占める最大市場(図)。
すでに英国では09年に日立製の鉄道車両が動いており、高速鉄道の車両置き換えも約1兆円で受注し、順次出荷している。さらなる拡大のために、欧州大陸への進出が喫緊の課題となっていた。
が、欧州はすでに鉄道ビッグスリー(加ボンバルディア、独シーメンス、仏アルストム)が牙城を築く。ビッグスリーの鉄道事業の売上高はいずれも8000億円を超え、日立の1700億円と隔たりがある。営業ネットワークや工場も含めた地盤が必要だった。今回の買収で、ブレダの売上高約700億円とSTSの約1700億円が上乗せされ、約4000億円となり、ビッグスリーに近づく。
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