「特に、人事担当者への風当たりが強い時代になっていると思うんですよ。普段の業務だけでも大変なのに、働き方改革やキャリアブレイクなどが広まり、労働者側のリテラシーが上がってきたこともあって、経営者と労働者の板挟みになっている人事の方もたくさんいます」
北野さんがまず変えていかなければいけないと考えているのは、経営者や人事の意識ではなく、社会構造だ。キャリアを立ち止まることの意義を伝える機会がない教育の仕組みや、優秀な人の定義が時代の変化に対応していない企業の評価構造などを変えていくことができれば、経営者や人事も気持ちよくキャリアブレイクを後押しすることができるようになる。
キャリアブレイクの文化が広まれば、社会が面白くなる
北野さんのキャリアブレイク研究所が目指すのも、社会構造をキャリアブレイクの価値が活かされるものへとアップデートさせること。だからこそ、当事者だけでなく、企業や自治体、大学などとも連携しながら、みんなでキャリアブレイクという文化を広めていくことに取り組んでいる。
北野さんが強調するのは、キャリアブレイク研究所の取り組みは、「文化活動である」ということだ。
「よく誤解されるのですが、弱者を救いたくてやっている社会貢献活動ではありません。私たちは、キャリアブレイクの文化が広まったほうが、社会が面白くなると信じて取り組んでいる。つまり、文化活動なのです」
日本で生まれているキャリアブレイクをめぐる動きは、かならずしも労働者の権利を求めるために行う、経営側との闘争ではない。
労働者や経営側、産官学が協力しながら、より生きやすい社会、さまざまな個性と出会える面白い社会、そしてイノベーションが生まれる社会を目指していく運動と捉えることもできそうだ。
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