算出方法はこうだ。2020年の転職者のうち、離職から次の職場に就職するまでの期間は「離職期間なし」が26.1%。残りの73.9%は、大なり小なり離職期間を経験している。
中には、次の会社に転職するまでに少しだけ休憩期間を取る人もいるはずだが、1カ月以上の離職期間を設けた人に絞ったとしても、全転職者の46.3%にのぼる(厚生労働省の「令和2年転職者実態調査の概況」より)。
同じ年の転職者数は319万人なので、1カ月以上の離職期間を持った人は147万人と推定される。単純計算すれば、常用労働者5100万人の約35人に1人。繰り返すように、この数字はあくまでも概算であり、休職者は含まれていないが、キャリアブレイクを経験する人は日本でも決して少なくないことが見えてくる。
「怠けている弱者」という誤解
ただし日本においては、欧米に比べてそうした人に対するスティグマ(偏見)が根強く存在すると北野さんは指摘する。
「欧米では、採用の際に履歴書に空白があってもネガティブに捉えられることはあまりありません。一方、日本では『怠け者』や『社会的弱者』『経済活動に向いてない人』と思われ、企業からも厄介者扱いされることがある。だから、個人もあまりその期間の経験を語ろうとしないのです」
「怠け者」「弱者」という画一的なイメージで捉えられがちなキャリアブレイク経験者。だが、実際には病気の治療や仕事探し、学び直しや留学など、その経験は多様だ。
北野さんは、キャリアブレイクを4つの型で整理している。
1つ目は「ライフ(LIFE)型」。怪我や病気による療養期間や、妊娠、出産、介護などのライフイベント、また家族のケアのための休職や離職を指す。
2つ目は「グッド(GOOD)型」。自分の特性に合ったよりよい仕事や働き方を実現するために、休職や離職を使って、心身の改善や自分の客観視に取り組むのがこのタイプだ。
3つ目は「センス(SENCE)型」。周囲に合わせて生きてきた人が、一時的に自分の時間をゆっくり取って、感性を回復させていくのがこれにあたる。
4つ目は「パワー(POWER)型」。留学や長期の旅行、学び直しやボランティアなど、挑戦するために離職や休職をするタイプだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら