人間関係の基本は信頼にある。信頼と似た言葉に「信用」があるが、両者をきちんと区別して利用している人は、実は思いのほか少ない。
当然、その違いをきちんと説明できる人も、あまりいないのではないか。信用とは、過去の実績に基づく客観的な評価を意味する。地道に実績を積み重ねることで、初めて信用を得ることができる。
一方、信頼とは、将来の成果に対する主観的な期待を意味する。要するに、実績を積み上げて得た信用がなければ、期待を元とする信頼は確保できない。そして、信頼を失うのは一瞬だ。信頼を回復するためには、再び地道に実績を積み重ね、信用を得ていくしかない。
人間関係の基本である信頼をつなぎ止めるということは、その実として大変なことである。
現在の円安は信用と信頼の問題ではないか
なぜこのような話をするかというと、イラン発のエネルギーショックを前に再び岐路に立たされている円の為替レートを考えるうえで、この整理が極めて有用だと考えられるからだ。
1971年のニクソンショック以降、国際通貨体制は管理通貨制度に移行した。管理通貨制度の下では、その国が築いてきた信用に基づき、為替レートが決まる。
特に重要なことは、経済を運営する主体である政府と中央銀行が信用を積み重ねることだ。中銀が国債保有を基に紙幣を発行する以上、国債の価値の向上・維持が図られなければ、通貨の価値の向上・維持は達成されない。
そのために最も重要なことは、政府がその支払い能力の範囲内での財政政策の運営に努めること、つまりは、健全な財政である。
一方、中銀が一定の原則の下に金融政策を営むことも、通貨の価値を大きく左右する。政府の財政拡張のために中銀が金融緩和を行うこと、すなわち債務の貨幣化(財政ファイナンス)が常態化するような国・地域の通貨は、価値を失う。
政府の意向に左右されず、一定の原則の下に中銀が金融政策を営む国の通貨を、投資家は評価するのである。



















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