「あえて仕事しない」が日本でも当たり前になる日 「働かない=怠けている弱者」という乱暴な思い込み

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「新規事業に向けた実験(知の探索)」を担う人の能力とはなにかといえば、「問う力」だという。社会や企業で当たり前だとされていることに対して、疑いを向けること。だからこそ、企業のリスクを察知し、あらたなイノベーションの萌芽をつくりだすことができる。

そして、その「問う力」を育むのが、キャリアブレイクなのだそうだ。

「無職や休職って、一見怠けてるように見えるかもしれません。 でも、その期間は『問う時間』なのです。経済活動から距離を置きながら、『どうして社会はこういう仕組みなのだろう』『なぜこういうサービスがないのだろう』『自分にはなにができるだろう』と考えている。キャリアブレイクを経ることで『問う力』が育まれ、優秀になることがあるのです」

「問う力」は、これまで多くの企業で、企業の方向性に疑問を呈する「めんどくさいやつ」として疎まれることもあったはずだ。しかし、そうやって「問う力」がある人を排除した「利き腕だけの経営」が暴走のリスクを孕んでいることは、昨今の企業の不祥事にもあらわれている。

企業がキャリアブレイクを後押しすることは、そうした暴走のリスクを回避し、イノベーションを生むことにもつながる可能性があるのだ。

キャリアブレイクを後押しする企業

実際に、キャリアブレイクを後押しする企業もあらわれている。

たとえば大阪ガスで知られるDaigasグループは、北野さんに研修を依頼。家でも職場でもない「サードプレイス」をテーマにした社員研修を実施した。キャリアブレイクは、会社を辞めることや休職することとイコールではない。会社での仕事から離れて活動する機会を持つことも、広い意味ではキャリアブレイクになる。

Daigasグループでは、社員が働きながら、企業以外で自らのやりたいことを実現することを後押ししている。北野さんの講義がきっかけとなり、社員同士でやりたいことを語り合う場や、そこで生まれた声から実際に公園でジューススタンドを出す取り組みなどが生まれたという。

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