「路上で名刺交換」「社訓絶叫」…"新入社員研修"の今昔 「eラーニング」や「ゲーミフィケーション」で学ぶ今どきの研修事情
「まさか、路上で見知らぬ人に名刺を配らされるとは……」
かつて新入社員研修といえば、こうした理不尽な体験がつきものだった。幕張メッセ周辺では、研修と称して通行人に名刺交換を迫る新入社員が大量に出没し、施設側が注意書きを掲示する騒ぎにもなった。30枚の名刺交換ノルマを課された新入社員もいたという。
しかし時代は変わった。令和の研修は、ゲーミフィケーションや越境学習など、まったく異なるアプローチに進化している。
そこで今回は、新入社員研修の「昔」と「今」を比較しながら、令和時代の育成の新常識を解説する。新入社員の育成に悩むマネジャーや人事担当者には、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
昭和・平成の研修は「気合と根性」だった
日本の新入社員育成の歴史は、1960年代〜70年代の「気合と根性」の時代から始まった。その後、80年代の「個性と創造性の尊重」、90年代の「即戦力化」、2000年代の「生産性向上」と変遷を遂げてきた。
しかし15年頃まで、業務に直接関係のない極限状態に新人を置く、いわゆる「ブラック研修」が横行していた。
冒頭の路上名刺交換だけではない。大声で社訓や目標を何度も言わせたり、マラソンや腕立て伏せなどをひたすらやらせる研修などもあった。入手した名刺を上司が営業活動に流用するケースもあり、国民生活センターには「しつこくマンション勧誘を受けた」という苦情まで寄せられた。
この問題は国会でも取り上げられ、「人格改造ともいうべき重大な人権侵害」と批判された。当時の厚労大臣も「尊厳や人格を傷つけることは許されない」と答弁している。
筆者(56歳)が新人のときを思い出す。現場の日常的な指導においても、「厳しく叱ってこそ成長する」「ミスを全体の前で叱責して二度と同じ失敗をさせない」という“スパルタ指導”は少なからずあった。終身雇用と年功序列という安定した土台があったからこそ、多少厳しく叱られても社員は辞めなかった。精神論や根性論がギリギリ成立していた時代である。


















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