三菱ケミカルグループ、突然の社長交代劇の背景 社外出身外国人から社内出身日本人へ逆戻り

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指名委が2020年10月にギルソン氏を次期社長に決めたとき、最終候補者は7人、うち4人が社外の外国人だった。当時も指名委の委員長だった橋本氏は、思い切った改革の必要性を念頭に「社内よりも社外、日本人よりもしがらみのない外国人と考えた」と選考のポイントを説明していた。

それが一転して社内の日本人に交代することについて、橋本氏は「3年前とはだいぶ状況が変わり、厳しい事業環境になった。知見があり、人脈がある人が動かしていくほうがいいだろうという判断になった」と述べた。

発表後に株価は急落

三菱ケミカルGの株価は、12月22日に社長人事を発表した午後1時半時点で937円だったが直後から急落。27日の終値は発表直前から7.7%安の864.5円まで下がっている。石化事業などの再編の先行きに不安が広がったことに加え、市場から不信感を買った可能性もありそうだ。

というのも、10月20日に開いた投資家向け説明会では石化事業などの切り離しの進捗について懸念する質問が出たが、「計画通りに進んでいる」「遠くない将来に実現させる」などと、順調であるかのようにアピールしていたからだ。

また、事業構造改革を進める中でも従業員エンゲージメントのスコアは上がっているとも説明していた。今回の社長交代会見で語られたトーンとはかなり乖離がある。

新社長に就く筑本氏には、石化事業再編の道筋をつけることと同時に、市場からの信頼を取り戻すことが求められる。

奥田 貫 東洋経済 記者

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おくだ とおる / Toru Okuda

神奈川県横浜市出身。横浜緑ヶ丘高校、早稲田大学法学部卒業後、朝日新聞社に入り経済部で民間企業や省庁などの取材を担当。2018年1月に東洋経済新報社に入社。

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