三菱ケミカルグループ、突然の社長交代劇の背景 社外出身外国人から社内出身日本人へ逆戻り

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縮小

そもそも石化事業は汎用品が多く低採算で、三菱ケミカルGが志向する高付加価値路線とはそぐわない。二酸化炭素の排出量も多く、脱炭素への対応の負担も大きい。

業界全体で見ても、石化事業の再編は共通課題だ。国内にあるエチレンプラント12基は、需要に対して多すぎることはコンセンサスになっている。どこかが縮小や撤退するか、統合するかして、国内の供給力のサイズダウンを進める必要がある。

そこで、石化事業からは手を引き、ヘルスケアや半導体関連、モビリティー関連など高付加価値事業に経営資源を集中する――。ギルソン社長のもと、三菱ケミカルGは思い切ったリストラ策を描いていた。

本来の予定では、2023年内に石化事業を他社との合弁会社にし、そこから3年以内に新規株式公開(IPO)することを目指してきた。しかし、年の瀬を迎えても何の発表もなかった。

事業環境の悪化が誤算?

石化事業の切り離しが思うように進んでいない裏には、方針を発表した当初よりも事業環境が悪化しているという事情がある。

2021年4~9月期、三菱ケミカルGの石化事業は265億円の事業利益を稼いでいた。それが、2023年4~9月期は25億円の事業赤字に沈んでいる。

低迷の理由には景気の悪化もあるが、ほかに根本的な問題もある。

近年、中国企業が相次いで石化製品の生産設備への投資を実施。過剰な供給力によって中国市場からあふれた製品が、日本企業の主力販売先であるアジア市場の需給バランスを大きく悪化させている。今後、多少景気が回復しても、こうした需給構造は変わらない。

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