脚本家・山田太一が遺した日本の正月への思い エッセイ集「夕暮れの時間に」に託された願い

新春の願い
先日のテレビで小沢昭一さんへのロングインタビューの再放送があった。その終りに「是非ともおっしゃりたいことは」というアナウンサーの質問に「それはもう戦争をしてはいけないということだ」といい「昔は川中島で武田信玄と上杉謙信が戦った。つまり日本人同士が戦争をしていた。そういうことはいまの日本にはない。人間の世界から戦争はなくならないと訳知り顔にいう人がいるけれど、そんなことはない。日本人同士の戦争はなくなっているではないか。戦争はやめられる。希望をなくしてはならない」と、一度聞いただけなので正確ではないけれど、そういう主旨のことを話していらした。
それに心から共感する。
戦争はいけないなんて、そんないい古された当たり前のことを今更わざわざ正月の新聞でいい出すなよ、とムッとされた人もいるだろうけれど、そんなことはない。私は心配である。
今年の日本が、国内外の空気に押されて外交の柔軟性を失い、局所であれ、戦火をまじえるようなことがないように心から願う。

















