今年はクイーンが出場「紅白」のひと味違った見方 「海外アーティスト出場」の歴史を振り返る

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一方で2000年代、韓国ドラマなどが日本でブームになる現象、いわゆる韓流ブームが起こる。2004年には、ドラマ『冬のソナタ』の爆発的人気に端を発する「冬ソナ」ブームがあった。同年の『紅白』には、「冬ソナ」の主題歌を歌ったRyu、そして韓国ドラマ『美しき日々』にも出演したイ・ジョンヒョンが出場した。

韓国発のポピュラー音楽、すなわちK-POPの人気も高まった。早いところでは、日本でも活躍し、2002年から2007年まで連続出場したBoA、2008年に初出場し、2009年、2011年と出場した東方神起などがいる。さらに2011年には、KARA、少女時代といったガールズグループが日本でもヒット曲を出し、初出場を果たす。

その流れを受け、現在のK-POPブームを担うアーティストも『紅白』に登場するようになった。

2017年には、韓国、台湾、そして日本出身者からなる多国籍グループのTWICEが初出場。“TTポーズ”の振り付けも話題になった「TT-Japanese ver.-」を披露した。その後も2018年、2019年、2022年と出場。さらに今年は日本人メンバー3人によるユニット「MISAMO」が初出場を果たし、いまや『紅白』でおなじみの一組になりつつある。

また同じく日本人メンバーを含む多国籍ガールズグループのLE SSERAFIMも2022年、そして今年と2年連続出場。2022年に出場したIVE、今年まだ日本デビュー前にもかかわらず初出場が決まったNewJeansも多国籍メンバーからなるガールズグループである。海外アーティストというわけではないが、今年で4年連続出場となるNiziUなども広く見ればこのラインに入るだろう。

さらに今年はガールズグループに加え、ボーイズグループの出場も実現した。Stray KidsとSEVENTEENで、やはりいずれも多国籍グループである。今年に関しては、旧ジャニーズ勢が不在のなか、その空いた席を埋めたという見方もできるだろう。来年以降、勢力図がどうなっていくのか、要注目である。

グローバル化のなかの『紅白』

かつて白組司会を9回も務め、『紅白』の顔だった元NHKアナの高橋圭三は、『紅白』には報道番組の側面があると語っていた。歌にも番組にも、その年の世相や社会情勢が反映されるからである。

ここまで見てきたように、海外アーティスト出場の歴史にも、時代ごとの流行や社会情勢の変化が映し出されているのがよくわかる。その意味で、海外アーティストの出場もまた『紅白』の立派な一部と言える。そして今後はグローバル化の波を受けて、『紅白』においても日本と海外の境界線がだんだんなくなっていくのかもしれない。

太田 省一 社会学者、文筆家

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おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

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