「LGBTQ+」の人が職場で直面するさまざまな課題 自分らしくいられる環境を企業はどう作るか
ハラスメント防止のために会社が講ずべき措置は、大きく次の4つがあります。
① 事業主の方針の明確化および周知・啓発・研修の実施
② 相談窓口の設置
③ ハラスメントが起きた際の迅速かつ適切な対応
④ ハラスメント相談者・行為者のプライバシーの保護
これらは、LGBT理解増進法10条で事業主の役割として挙げられている「情報の提供、研修の実施、普及啓発、就業環境に関する相談体制の整備等の必要な措置」と重なります。
企業としては、ハラスメント研修を通じて、LGBTQ+についてより丁寧な啓発や教育をしていくことが最低限求められているといえます。
LGBT理解増進法における「理解」とは
最後に、LGBT理解増進法の「理解」という言葉の意味を考えてみたいと思います。
LGBTQ+やジェンダーに関する課題は、人権課題であることは言うまでもありません。
英語には、エンパシー(Empathy)という言葉があります。「人の気持ち、問題を理解する能力」という意味での共感で、「相手の気持ちを感じ取り、思いやる」という意味での共感のシンパシー(Sympathy)とは異なります。エンパシーは能力であるため、好きか嫌いかなどの感情に支配されず、意識的に高めることが可能です。
LGBT理解増進法の「理解」とは、相手を思いやる共感以上に、他者を理解しようとする能力、つまりエンパシーを高めていくことだと考えます。
これは、多様性社会のなかで、企業法務を考えるうえでも必要なスキルだといえます。
手島社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士。人材の採用から退職までの諸問題をサポート。現在は、中小企業の人事・労務コンサルティングを中心に業務を展開している。育児や介護との両立支援、女性、外国人、高年齢者、障害者、LGBTQ+など多様な人材がイキイキと働ける職場環境づくりに定評がある。
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