「LGBTQ+」の人が職場で直面するさまざまな課題 自分らしくいられる環境を企業はどう作るか
職場での理解を促すために求められる具体的な取組みのポイントを紹介します。社会情勢や社内の理解度に合わせて、できることから取り組むことが大切です。
(1)社内啓発等
一度の研修だけでは、時間の経過とともに記憶が風化してしまうため、社内勉強会やグループ活動等で継続的に学ぶ機会を設けることが望まれます。
(2)事業主の方針の明確化
差別等は事業主が絶対に許さないなど、トップダウンのメッセージを示すことが重要です。
(3)カミングアウトを受けた場合
先述の性的指向の暴露(アウティング)で労災認定されたことからも、カミングアウトを受けた場合は、無断で第三者へ話すことは絶対にしてはなりません。性的指向・性自認は機微な個人情報として取り扱う必要があります。
(4)相談窓口
相談担当者が、適切な知識を持てるように、外部研修受講の機会を与えることが求められます。弁護士や社労士その他専門機関など、社外に相談窓口を設置することも有効です。
施設についても対話を重ねる
(5)施設利用等
次の事項について、トランスジェンダーの従業員から相談があった場合は、対話を重ね、最善策を探ることが重要です。
・制服の在り方を見直す
・社内資料の性別欄をなくすといった工夫をすることや、青は男性、赤は女性というような男女二極論のような表記の仕方を見直す
・戸籍上の性や氏名変更をしていない従業員のためにも、通称名の使用を許可する
・従業員が選択した病院等での健康診断の受診などを検討する
(6)時間単位年休やフレックスタイム制、在宅勤務制度の活用
トランスジェンダーのホルモン治療や性別移行期における通院、HIV陽性者の通院等を想定して整備する必要があります。これは、他の従業員の通院のケースについても有効な制度です。
(7)育児・介護休業
休業給付金については、同性婚がいまだ日本では認められていないため、現時点では支給対象外ですが、有給無給にかかわらず、同性パートナーのケースの育児休業や、その親族の介護休業を取れるようにすることを検討する必要があります。
(8)福利厚生
慶弔休暇制度や慶弔見舞金等の対象を、法律婚だけでなく事実婚や同性パートナーのケースにも付与することが求められます。