「業務を仕組み化」小さな会社が挫折するワケ 「何のために働くのか」を社員は求めている
小さな会社の社長は、社員に対する情が強くなりがちです。大きな会社の社長が薄情だと言っているわけではありません。距離の近さや接触の頻度の問題です。
感情に流されないために仕組みで管理するのだ、というのは正論です。しかし社長の本音を聞くと、そこまで割り切れない人も多いのが実態ではないでしょうか。
小さな会社に集まってくれた社員たちに情が移るのは、普通の感覚だと思います。
信頼してなんでも相談してくる社員たちが幸せになれるなら、とがんばるのも当然のことでしょう。
この情が、小さな会社の仕組み化がやりきれない大きな原因でもあります。
仕組み化の正しい順序
小さな会社の場合、仕組みと管理に徹するのは意外と難しく、嫌なことでもあります。
ならばどうすればいいのか? 私は、社員の成長と評価の制度づくりにいますぐ着手すべきだと思います。社員のために社長がひとり奮闘するのではなく、どうすれば社員ががんばれるのかを考えるということです。
仕組みと聞いて思い浮かぶのは、おそらくビジネスモデルや、人を動かすための管理、マニュアルなどだと思います。特に、仕事の属人化を防ぎ、効率化・合理化を推進する管理の仕組みは、いかにも即効性がありそうです。
しかし実は、いきなりそこに飛びつくことが、仕組み化に挫折する原因なのです。
経営の仕組みは、大きく3つに分解できます。
・事業の仕組み=ビジネスモデル、商品・サービス開発
・成長の仕組み=ビジョン、経営計画、人事評価
小さな会社がまずつくらねばならないのは、成長の仕組みです。
ビジョン、経営計画、人事評価は、会社がどこへ向かい、どうやって到達し、社員が何者になれるかという筋道です。会社と個人の成長プロセスを見える化したものであり、経営の仕組み全体の土台といえます。
とはいえ、ビジョンや経営計画で組織が劇的に変革できるなんて、いまいちピンとこない人も多いでしょう。でも、こう考えてみてください。
成長の仕組みは、あなたのためにあるのではありません。
社員のためにあるのです。
「何のために働くのか」「どうすれば成長できるのか」を、社員は求めています。これがないのに管理のルールやノルマ、マニュアルばかりを導入すると、社員は成長欲求を満たされず、虚しく数字を追いかけ、やらされ感が漂い、形骸化していきます。
一般的に仕組みは、感情を横に置いて合理化を追求する、無機質なイメージがあると思いますが、まったく逆です。
人のやる気を落とさず、自己実現や自己成長という幸福に向かうものなのです。
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