「業務を仕組み化」小さな会社が挫折するワケ 「何のために働くのか」を社員は求めている

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これは、ありふれた組織改革の一例ですが、この顚末の中には小さな会社と大きな会社の決定的な違いが隠されています。

仕組み化を徹底すれば、その仕組みになじむ人材だけが残り組織が強くなる。そんな話を聞いたことがありませんか? これは、大きな会社に限った話だと思います。

小さな会社はそう簡単に人を減らしたり増やしたりできません。

小さな会社は採用さえままならず、知人の紹介や縁故に頼っていることも珍しくありませんから、人が一人辞めるダメージが、大きな会社とは比較にならないほど甚大なのです。仕組みができるまでの〝過渡期〞を乗り越えるだけの資金的な余裕がない会社も多々あります。

プレイング社長ががんばれば、なんとかなってしまう

クライアントの社長にこんなことを言われたことがあります。

「たくさん売ってくるのが私の仕事だと思っていました」

あなたは、社長や組織のトップの仕事は何だと思いますか? 数字の管理や人の育成、資金の調達など、一言でいえばマネジメントが思い浮かぶと思います。では、ここ1、2カ月にやった仕事を思い出してみてください。意外とトップ営業や現場の作業に時間を割いている人が少なくないのではないでしょうか。

これはエキスパート経営をやっている小さな会社によくある傾向です。会社の規模がまだ小さいがゆえに、何から何まで社長の手が届いてしまうし、がんばればなんとかなってしまうからです。

起業した社長は、例外なく仕事ができる人です。

いうなれば「プレイング社長」で、売上をつくることからこまごまとした事務作業まで、すべて自分でやることができます。

一見すると、現場任せにしない責任感のあるがんばり屋の社長です。しかし裏を返せば社員を信じていないともいえます。「誰かに代わってほしいよ」と口では言いながらも、いざとなると「自分がやったほうが早い」「自分がやったほうがお客様のためになる」などと思ってしまうのです。

そんな社長は仕組み化に挫折しがちです。

仮に、営業担当社員の行動計画を立てて管理に徹しようとしても、我慢がききません。小さな会社では1件の契約や販売が死活問題になることもあります。そのため現場に任せたつもりでも、「ここだけは自分が商談に出てクローズしよう」などという仕事が増えてきて、結局は自分も営業に回ってしまいます。

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