こうしたオープンソース戦略は、IT業界でメタのような後発組がOpenAI/マイクロソフト連合のような先発組に追い着くための手段として用いられる。もっともメタは当初LLaMAのソースコードを完全にオープンというより、むしろ大学等のAI研究者ら4000人に限定してリリースしたが、その後10万人以上のユーザーから「LLaMAを入手したい」とのリクエストがあったという。
ただ、そこには悪質なハッカーなどがLLaMAのように強力なオープンソース・コードを入手・改変してフェイクニュースや差別発言などを垂れ流す悪玉チャットボットを開発するかもしれない、などの危険性が指摘されている。
実際、LLaMAが4000人に限定リリースされてから間もなく、そのソースコードがオンライン掲示板の「4chan」にアップされ、実際には誰でもアクセスしてこれを改変できる状態になるなど、第三者による悪用の危険性は現実味を帯びてきた。
LLaMAのような基盤技術の開発と並行して、メタはその技術を応用した多彩なAIアプリも提供し始めた。9月には、著名なプロ・スポーツ選手やミュージシャン、インフルエンサーなど各界セレブを生成AI技術で模倣したアバターを開発し、これらを傘下のインスタグラムやWhatsAppなどソーシャル・メディア上で利用できるようにした。
ただ、これらのAIアバターと実際に会話・交流したアメリカのユーザーなどからは「ちょっと違和感がある」「正直怖い」などネガティブな反応も多数寄せられるなど、必ずしも思い通りに事が運んでいるとは言えないようだ。
総じてメタは生成AIの分野で高い技術力を有しながらも、それを商品化する過程で苦戦している印象がある。
生成AIインフラの開発に臨むアマゾン
アマゾンも生成AIブームには乗り遅れた感がある。ChatGPTブームが巻き起こるのを見たアマゾンは当初、自らのクラウド・プラットフォームを介してアメリカの生成AIスタートアップ各社が提供する一群の対話型AIサービスを提供し始めた。
また9月には、2021年にOpenAIを飛び出した技術者らが創設した生成AIスタートアップ「アンソロピック」に約40億ドルの出資を発表。同時に、今後生成AIに適した専用プロセッサを同社と共同開発していく方針も明らかにした。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら