生成AIはウィキペディアをはじめインターネット上の膨大なデジタル・データを吸収し、それを機械学習することで成長してきた。特に最近のChatGPT Plus(有料版サービス)では、自動的にマイクロソフトの検索エンジン「ビング」と連携して、リアルタイムのウェブ情報も回答として提示できるようになった。
これはユーザー側の姿勢の変化も引き起こした。従来、仕事や日常生活でわからないことがあれば、検索エンジンやウィキペディアなどで調べてきたが、最近はChatGPTに質問して直接答えを得ることが多くなってきた。その分、検索エンジンの利用回数は減ることになる。
もちろん、それを具体的な数字で裏付ける調査結果などはいまだ発表されていない。しかしメディアやIT関係者の中には、体感的にそうした傾向を指摘する人が増えている。つまり従来の検索エンジンやホームページなどの代わりに、生成AI(対話型AI)がネットにアクセスする際の標準ツールになる可能性が出てきたと言うわけだ。
グーグルも検索エンジンに生成AIを導入しているが、あくまでも「検索エンジン」という枠組みの中での改良にとどまっている。同社は最近、テキストから音声、画像、動画まで、いわゆるマルチ・モーダル方式の新型LLM「Gemini」を発表するなど技術面での取り組みを強調しているが、長い目で見れば本当に必要なのは検索エンジンなど主力事業の根本的な見直しや再編に着手することかもしれない。
オープンソース戦略で追い上げを図るメタ
グーグルとは対照的にメタ(旧フェイスブック)は生成AI(LLM)の製品化で先走った結果、むしろ2023年の生成AIブームには乗り損ねた感がある。2022年の夏から秋にかけて同社がリリースした「ブレンダーボット」や「ギャラクティカ」など一連の対話型AIは、数々の差別発言や誤情報などをまき散らした結果、ユーザーの間では散々な評判で、メタはリリース早々にそれらのサービスを事実上廃止する羽目となった。
その直後にOpenAIがリリースしたChatGPTが世界的ヒットを記録して以降も、しばらくは大失敗の痛手から、メタは生成AIの製品化には及び腰だった。それでもChatGPTの勢いが止まらないのを見たメタは今年夏頃、それまで社内で長年開発してきた「Genesis」と呼ばれるLLMを改良して「LLaMA」と呼ばれる製品名でリリースした。
メタによれば、LLaMAはいくつかの指標においてOpenAIのGPT-4に勝るとも劣らないとされる。が、その最大の特徴はいわゆる「オープンソースコード」、つまり第三者が自由に利用・改変できるコンピュータ・プログラムとして提供されたことだ。
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