クリスマスチキン戦線開いた「モスチキン」の軌跡 「チキンの向き」にも影響した、社内体制の変化

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しかしそもそもなぜ逆に入れていたのだろうか。

骨のほうをトングで掴んで袋に詰める場合、骨が上になったほうがオペレーション面ではやりやすい。袋の口を折り返し、逆さにして使うという従来の袋は、骨のほうを持って食べてもらいたいという意図と、オペレーションを簡易にしたいという意図のせめぎ合いの姿だったのかもしれない。それが、客にとっては「わかりにくさ」となっていた。

それがこのたび、開発とマーケティングを一体的に行うようになって変わった。商品開発とお客の間に1つあった壁が、なくなったような印象だ。

なお、モスフードサービスでは2022年よりネット通販もスタートしている。冷凍モスチキンも5本入り1500円から購入可能だ。一度揚げたものを冷凍しており、家庭で揚げても店の味を手軽に再現できるそうだ。

人気上位の「テリヤキチキンバーガー」

最後に、チキンつながりで、密かに人気上位のテリヤキチキンバーガー、通称「テリチ」にも触れておきたい。

隠れた人気商品の「テリヤキチキンバーガー」450円。焼き鳥をイメージして開発されたものだという。店舗でタレをつけながら直火で焼くため、しょうゆの香ばしさが感じられる(写真:モスフードサービス)

テリチはしょうゆだれに漬け込み焼いたもも肉、レタス、玉ねぎを挟んだバーガー。

テリヤキという名称からは「テリヤキバーガー」の甘辛味が想像されるが、試食してみると、チキンのほうは甘さ控えめで、甘いのが苦手な筆者にも食べやすい。フレッシュなレタス、マヨネーズ、ふわふわのバンズと、シンプルな組み合わせゆえに、素材のおいしさがダイレクトに感じられるバーガーとなっている。

モスのメニュー中での人気順位は4〜5位だそう。

一度メニューから消えたが、カムバックの呼び声高く翌年復活した「チキンバーガー」360円(写真:モスフードサービス)

鶏胸肉のチキンフライを千切りキャベツ、オーロラソースと挟んだチキンバーガーは、これに対して17位。あまり人気がなかったため、5〜6年前にいったんメニューからなくしたが、復活希望の声が高く、翌年復活した。

前出の濱崎氏によると、定番バーガーや期間限定メニューを食べた後の「2個目のバーガー」として選ばれているのでは、とのことだ。

以上のように、今回はモスチキンについてフィーチャーしながら、商品から垣間見える、モスフードサービスの戦略について述べてきた。KFC・オリジナルチキンの対抗馬として31年前に開発されたモスチキンには、まだまだ底力がありそうだ。今後その真価がどのように発揮されるのか、同社の動きが注目される。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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