札幌の「ヤジ排除問題」報じ続けるメディアの信念 映画手がけたHBCの山﨑裕侍監督に話を聞いた
もちろんこの日はヤジが飛ぶかもしれないから、そのときの安倍総理のリアクションを撮るためにカメラを配置しようという話をしていたのですが、それぞれの演説会場でテレビ各社を代表したカメラがあるから、何カ所も自分たちで出す必要もないだろうということになったんです。
結果としてヤジ排除の場面が、うち独自の映像としては撮れなかったので、現場に居合わせた市民が撮った映像に頼らざるをえなかったというのが後悔の1つです。
ただ唯一、安倍総理が来るからということでプライベートで演説を聴きにきていた通信員がいて。たまたまスマートフォンで撮影していたんですけど、そこで決定的な排除の場面が撮れていました。でもそれは後になってわかったことですが。
視聴者映像に頼るのはリスクがある
――やはり撮ってないと気づいたときはゾッとしたのでは?
そうですね。まず、ああいう排除があったというのは朝日新聞を読んでわかったんです。そこからその映像はあるのかと探したんですが、やっぱりうちにないというのがわかって。その後に通信員の映像があるとすぐにわかったんですが、桃井希生さんのヤジ排除の映像はなかったんですよね。
その場面も結局、視聴者から提供してもらうしかなかった。もうちょっと後になって本人が撮った映像があるとわかったので、それを提供していただいて。必死にかき集めたらものすごい映像がそろったという形ですね。ただやっぱり、ニュースの責任者の立場としては、自前のカメラで撮れなかったっていうのは痛いところでしたね。
第三者が撮った映像は本当かどうかがわからないんです。現場で起きたことというのは、そこにいないとわからない空気感があるので。カメラをまわす前と、まわし終えた後の様子ってわからないわけですからね。
恣意(しい)的に画角を切り取られることもありますし、視聴者映像だけに頼るというのは報道機関としてはリスクがありますよね。
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