「診療所の儲けは8.8%」と示した財務省の人海戦術 猛反発の医師会、「恣意的」の批判は妥当なのか

✎ 1〜 ✎ 206 ✎ 207 ✎ 208 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
診察する医師
コロナ禍で苦労した医療人、儲かった医療法人(写真: Luce / PIXTA)

2024年度は、診療報酬の改定年である。2024年度予算の編成作業がヤマ場を迎え、医療・介護の報酬が同時に改定される中で、医療はとりわけ注目度が高くなっている。

今回の同時改定は、これまでにない環境での改定になっている。それは、顕著に物価が上昇する中での同時改定である。

介護保険制度は、2000年度に創設された。だから、介護保険制度は、顕著に物価が上昇する時期を経験したことのない制度といえる。診療報酬は、かつて1970年代にインフレに直面する中で改定が行われたことはあったが、現在の当事者には、その改定作業を体験したことのある人はほぼいない。

その意味で、目下の物価上昇を踏まえながら、どのように診療報酬・介護報酬を改定するかが、今回ならではの課題として問われている。

医療と介護、インフレ下で処遇改善の優先度

岸田文雄内閣では、持続的な賃上げを喚起しようとしており、医療・介護従事者の処遇改善にどうつながるかも注目されている。

特に、介護従事者は、医療よりも処遇改善の必要性が高いとみられており、介護報酬は処遇改善が可能な程度に引き上げられるものとみられる。もちろん、原資の確保が必要となる。介護報酬の原資は、介護保険料と税金と利用者負担である。

そのうえに、診療報酬も大幅アップとなると、さらにそのための原資の確保が必要となり、医療保険料と税金の負担と患者負担がさらに重くなる。

医療従事者の所得事情は、介護とは異なっている。確かに、処遇改善が必要な低所得の医療従事者もいる。しかし、近年そこそこ潤っている医療機関がある、との指摘がなされた。

次ページ利益率をはじき出した「機動的調査」とは
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事