さらに、歩合制ではなく、週3日・1回5時間から時給1500円の固定給で働けるパートタイム従業員制度への応募も女性や学生などの間で増えているという。
こうしたさまざまな要因によって、都市部でのタクシー需要は、2024年末でコロナ前の2019年度末(3月31日)の95%程度まで回復し、2025年6月末にはコロナ前の水準を超えると見込む。
観光地については、俯瞰すればインバウンド観光客の影響は小さいとみる。
理由は、インバウンドのハイヤー・タクシー利用率は24.6%。政府目標の2025年インバウンド数3000万人、またはその倍の6000万人に達しても、日本のタクシー全需でみれば数%程度に収まるとの解釈があるからだ。
そのうえで、インバウンド観光客の8割が10都道府県に集中するため、「地域個別の対策が必要だ」とした。
ニセコモデルと規制緩和
対策の一例として、「ニセコモデル」がある。冬場のオーバーツーリズムによる需要拡大に対して、地元タクシー協会、他地域のタクシー協会、地元自治体、観光協会、商工会議所などが連携し、2023年12月~2024年3月に車両10台・乗務員25名を札幌と東京から送り込む仕組みだ。
川鍋氏は、まだ具体的な準備段階にはないものの、こうした取り組みを「ニセコのほか、長野県の軽井沢や白馬での実施を考えていきたい」とし、地元首長に連合会としての意思を伝えてあるという。
そのほか、都市部と同じく二種免許の多言語化などによる、在留資格における特定技能1級が対象分野に追加されれば、インバウンド観光客対応の乗務員増が見込まれると話す。
地方/過疎地については、都市部や観光地に比べ地域ごとの社会状況が大きく違うため、地域別のキメ細かい対応が必要となるだろう。
国が進めている、自家用有償旅客運送における規制緩和に加えて、タクシー関連では2023年11月1日に規制緩和された「1台から設置できるミニ営業所」や、全国4900コース・約1万5000台が運行している乗り合いタクシー、その発展形であるオンデマンド型タクシーの活用などを見込む。
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