三浦市以外では、箱根町役場に問い合わせて事実確認をした。同町へは、検討会議の開催前に神奈川県がヒアリングを行ったようだが、その後、検討会への参加に向けた話には至っていないという。
以上のように、神奈川版ライドシェアは、基本的に三浦市から県に対して要望した事案ではなく、神奈川県が県内のタクシー不足に関する調査を行う中で、三浦市での実証を検討するに至ったものである。
今後については、県が「神奈川版ライドシェアを含め、あらゆる選択肢を視野に入れた検討を行う」という認識を示しているように、「ライドシェアありき」の議論ではなく、地域交通における早期の課題解決という視点がブレないことを期待したい。
全国ハイヤー・タクシー連合会、川鍋会長に聞く
こうした神奈川版ライドシェアに関する取材を進める中、11月21日に都内で開催された、全国ハイヤー・タクシー連合会における「タクシー業界の規制緩和に関する勉強会」に参加した。
まず、川鍋一朗会長が1時間超、同連合会としての認識について詳しい資料をもとに説明。冒頭で「ライドシェアありきではなく、社会のための公共交通機関としての本質的な議論が必要だ」という基本姿勢を示した。
つまり、単純に「ライドシェアに反対か賛成か」といった観点ではなく、社会課題の解決が最優先であるべきという見解である。
また、ライドシェアとの関係性について、ハイヤー・タクシー事業との法的な解釈としてバランスの取れた「イコールフッティング」が重要であると強調し、そのうえで3つの視点を示した。
都市部・観光地・地方/過疎地、それぞれでの課題を客観的データとして収集し、それに基づいたデータドリブンな議論が必要である。
都市部で1年、観光地で2年、そして地方/過疎地で3年をそれぞれめどに、需要に見合うタクシー供給が今後、着実に回復すると説明。
日本の公共交通では網羅的な安全性の検証が最優先事項であることと、「移動のワーキングプア」を生まない社会を目指すべき。
これらを、順に見ていく。
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