営利と非営利をはっきり2つに分けられない理由 「国家や株式会社」がどうしてもできないこと

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今井:そうですよね。さっきも言いましたが、非営利セクターには本当にいろんな種類があります。宗教的な文脈とか教育分野ではフリースクールもそうでしょうし、障害福祉や医療分野でも制度化しきれていないところはあると思います。出雲のコミュニティナースもとても非営利に近い活動ですよね。

青木:個人主義的に利益を追求しすぎてしまうと社会自体がボロボロになってしまい、売り手も買い手もいなくなってしまう。まずは社会を再構築する必要がありますよね。こういう危機感を感じている人もすごく多いと思うのですが、非営利活動をやっていきたいのだけど、なかなか活動を継続させる経営のノウハウがないという話もよく聞きます。

今井:それもすごく重要で、D×Pもユキサキチャットの事業をやりつつ、繁華街にセーフティネットとしてユースセンターをつくっています。それとオンライン相談のデジタルアウトリーチの仕組みやノウハウもさまざまな団体に提供してきたので、非営利団体を育てる活動もしていきたいと思っています。

年末年始は一番しんどい時期

青木:まさに社会の外に放り出されてしまったから孤立しているわけであって、困っている人を助けようと思ったら、僕たちも社会の外に目を向けねばなりませんよね。

そういう孤立してしまっている若者が、一番しんどい時期の一つが年末年始ですよね。行政など公的機関が年末年始のお休みに入ってしまったり、Wi-Fiの利用や寒さを凌ぐために普段利用している商業施設もお休みまたは時短営業になってしまったりするためです。

加えて最近の物価高のあおりを直接受けてしまっている若者の支援のために、今D×Pでは冬季募金をしていますよね。

今井:ぜひ一緒に10代が孤立しない社会をつくっていきたいですよね。今は冬季募金を実施していますが、D×Pもだんだん規模が大きくなってきて思うのは小規模でも寄付がいかに大きいかっていうこと。1000円、2000円毎月寄付をする月額寄付会員さんがいるから計画も立てられるし、今後の支援をどうやっていくのかを長期的に考えることができる。D×Pは寄付収入の半分が月額寄付のサポーターさんなんですけど、本当にありがたいですよね。

今井 紀明 認定NPO法人D×P(ディーピー)理事長

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いまい のりあき / Noriaki Imai

1985年札幌生まれ。立命館アジア太平洋大学(APU)卒。高校生のとき、イラクの子どもたちのために医療支援NGOを設立し、紛争地域だったイラクへ渡航。その際、現地の武装勢力に人質として拘束され、帰国後「自己責任」の言葉のもと日本社会から大きなバッシングを受ける。対人恐怖症になるも友人らに支えられ復帰。偶然、中退・不登校を経験した10代と出会い、自身のバッシングされた経験が重なり、2012年にNPO法人D×Pを設立。経済困窮、家庭事情などで孤立しやすい10代が頼れる先をつくるべく、登録者12,000名を超えるLINE相談「ユキサキチャット」で全国から相談に応じている。

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青木 真兵 「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター、古代地中海史研究者、社会福祉士

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あおき しんぺい / Simpei Aoki

1983年生まれ、埼玉県浦和市に育つ。「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」キュレーター。古代地中海史(フェニキア・カルタゴ)研究者。博士(文学)。社会福祉士。2014年より実験的ネットラジオ「オムライスラヂオ」の配信をライフワークとしている。2016年より奈良県東吉野村に移住し自宅を私設図書館として開きつつ、現在はユース世代への支援事業に従事しながら執筆活動などを行なっている。著書に『手づくりのアジール──土着の知が生まれるところ』(晶文社)、妻・青木海青子との共著『彼岸の図書館──ぼくたちの「移住」のかたち』(夕書房)、『山學ノオト』シリーズ(エイチアンドエスカンパニー)などがある。

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