人生の最後にそれまで形成してきた資産で社会貢献してはいかがだろうか。
今から5年前、横浜市に住む80代後半の男性はあることで思案していた。
「一人娘には十分な遺産を残せるはず。ならば何か人の役に立つことができないものだろうか」
現役時代からの運用などで現在の資産は約1億円。すでに妻は亡く娘は独立している。自身は今さらぜいたくする気がなく、多額の資産は必要ない。
お金を使って何か社会貢献できないものか──。そう考えていた男性は、遺言作成の相談も兼ねて信託銀行を訪ねた。
卒業した学校へ恩返し
担当者と話しているうちに男性は、卒業した学校への寄付を思いつく。じつは男性夫婦は同じ学校の卒業生。校風に好感を持ち、娘も同じ学校に通わせた。そのため「一家にとっての故郷のような場所だった学校に、恩返しがしたい」と考えるに至ったのだ。
そこで男性は、その学校法人に300万円寄付することを遺言書に記した。そしてその2年後、男性は亡くなり、遺言は執行されたという。
このケースは三井住友信託銀行が取り扱ったものだ。同行にはこうした社会貢献を目的に、遺言によって遺産を特定の個人や団体に寄付する「遺贈寄付」に関する相談が多く寄せられている。
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