「よしなに」「空中戦」それ実は若者に通じないかも 「若者と年配者」の会話が成り立たない根本理由

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「海老で鯛を釣る」「絵に描いた餅」など、世の中の理や人生の機微を簡潔に掬い取っていることわざの数々も、短文だけでこと足りるスマホ社会では登場する機会が減っていると著者は危惧する。

また、ことわざ以外にも日本語には、巧みな喩えで本来の意味を込めた言い回しが多数。昔は誰もが「ああ、それそれ」と比喩を共通理解していたということだ。

木で鼻をくくる:冷たい無愛想な態度で応対する。そっけなくあしらう(55ページより)

虎の尾を踏む:非常に危険きわまりないことをする(65ページより)

色を失う:非常に驚いたり恐れたりして、顔色が青ざめるさま(66ページより)

呑んで掛かる:実力は自分より劣っているはずと相手を下に見て対応する。相手を軽く見くびって勝負に向かう(66ページより)

蛙の面(つら)に水:どんなことをされようが、何を言われようが、まったく平気でいる。羞恥心もなく、言動も厚かましい様子(72ページより)

昭和世代が好む言い回しは若者には謎

たとえば、いちばん重要な最優先事項を意味する「一丁目一番地」の意味がわからず、別の意味に捉えていたという若者は少なくないようだ。

そんなところからもわかるように、昭和の言い回しは多くの場合、いまの若い人たちにはほとんど理解されないと考えるべきだという。

よしなに:おまかせするから、上手にやっておいてね。うまい具合になるよう、よろしくね、という意。ほぼ丸投げに近いニュアンス(111ページより)

空中戦:手元に資料などがいっさいなく、口頭だけで議論を交わすこと(116ページより)

ガッチャンコ:二つ以上の事柄を、まとめて一つにすること(117ページより)

ロートル:年寄りのこと。元は「老頭児」という中国語で老人を意味する(119ページより)

メートルを上げる:酒を飲んで酔いが回るにつれて、どんどん気勢が上がる(126ページより)

「大風呂敷を広げる」と言われても、風呂敷を知らなければ理解できないのは当たり前。「下駄を預ける」と肩を叩かれても、そもそも下駄を履いたことがない——。このように、「モノ」がもとになっている言葉を理解しようとするのは若い世代にとって難しくもあるのかもしれない。

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