「よしなに」「空中戦」それ実は若者に通じないかも 「若者と年配者」の会話が成り立たない根本理由
ただし著者は若者同士のコミュニケーションを問題視しているのではなく、「若者と年配者との会話」に危機感を抱いているようだ。「年配者なら当然知っている言葉を若者は知らない。だから、コミュニケーションが成立しない」という現実があるということだ。
もちろん通じるケースがゼロとはいいませんが、いずれにせよ、日本語コミュニケーションをめぐる新たな実情を正しく把握し、自分が扱う言葉の選択に今一度配慮することが、若い人相手には最低限必要なのかもしれないのです。(「はじめに」より)
そこで本書において著者は、「現代の若者たちにとって理解不能」であろうさまざまな言葉を項目別に解説しているのである。いくつかを抜き出してみよう。
“もうひとつの意味”が通じない
お金がないことをはっきりと訴えたくないとき、「どうにも首が回らなくて」というような表現を用いたりする。あるいは他人の情報をつい聞いてしまったとき、「たまたま耳に挟んだもので」と言い訳することもあるだろう。
日本語にはこうした、「直接的な言葉を避け、なんらかの言葉の裏にもうひとつの意味を含ませる」という特徴があるわけだ。
しかし著者によれば、スマホの短い表現だけで要件を済ますことの多い昨今では、そんな“遠回りな”言い方は聞いたこともないという若者が“驚くほど増えている”らしい。
そこでここでは、「文字通り以外に別の意味がある」言葉を紹介しているのである。
枕を高くする:身の回りに危険なことや心配事がなく、安心してゆったりと眠る状態(16ページより)
弓を引く:引き立ててもらったり、恩ある人などに対して、そむくこと。反抗すること(20ページより)
襟を開く:自分の胸の内をさらけ出す。思っていることを隠すことなくすべて打ち明ける(45ページより)
バスに乗り遅れる:時代の流れに置いていかれる。世の中の動きについていけない。取り残される(49ページより)
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