アトキンソン氏、「新・所得倍増計画」を提言 2030年、訪日客8200万人も狙える日本の底力

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さらに、「文化」です。日本各地に、さまざまな時代の歴史的建造物が破壊されずに残っていますし、アニメ、音楽などの現代文化も人気があります。

最後に、「食事」も多様性に富んでいます。寿司ひとつを取ってみても、超高級店から100円の回転寿司まで、懐具合に応じて選択の幅が広いです。さらに日本食だけでなく、洋食などのクオリティも高く、庶民的な店から高級店までそろっています。

このように、日本というのは、観光大国になりえる条件をすべて兼ね備えた、たいへん希有な国だと言えるのです。

これらの魅力のほか、「自国民の数に対する観光客数」や「GDPに対する国際観光収入の比率」など、さまざまな観点から多面的に分析すると、本当は今現在、年間5600万人の外国人観光客が来ていてもおかしくありません。

そこから、きわめて保守的な成長率を使って計算すると、2030年に年間8200万人という数字が出てくるのです。つまり、これは決して非現実的な予想でもなければ、楽観的な予想でもないのです。

年間約1341万人(2014年)しか来ていないという現状が、どれほど「潜在力」を生かしていないか、おわかりになっていただけたのではないでしょうか。

もっとおカネを落としてもらう工夫を

私が「日本は観光後進国である」と言うのは、観光客数についてだけではありません。「日本を訪れた観光客におカネを使ってもらう」という観点からも、日本はまだまだだと言わざるをえないのです。

たとえば、2013年には、日本のGDPに対する観光収入の比率は0.4%でした。先進国の平均が1.8%ですので、ケタ外れの少なさです。

中国人観光客は、日本で平均23万円使うそうです。「爆買」などと報道されていますが、アメリカの観光庁の数字によれば、アメリカを訪れた中国人は、平均66万円も使っています。中国人だけでなく、外国人観光客全体で見ても、訪日観光客の支出が平均15万円なのに対し、訪米観光客の支出は平均21万円。その差は6万円にも及びます。

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