アトキンソン氏、「新・所得倍増計画」を提言 2030年、訪日客8200万人も狙える日本の底力

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正解は、たったの0.95%です。フランス(7.8%)、アメリカ(6.4%)、タイ(2.4%)などの観光大国と比較すると、残念ながら日本は「観光後進国」だということがわかります。

そう聞くと、2020年の目標としては、3000万人(2013年のシェアに換算すると2.75%)でも多いのではないかと思われるかもしれませんが、それは国際観光市場全体の成長を無視しています。

UNWTO(国連世界観光機関)の長期予想によれば、2030年の世界の国際観光客数は18億人にまで増えるとされているので、この中で日本の外国人観光客が3000万人になったとしても、シェアは1.7%にすぎないのです。

私は、日本の観光産業の「潜在力」を考えれば、シェア1.7%という数字は、あまりに少ないと考えています。日本が「潜在力」をきちんと生かせば、シェアは4%台になっていても、まったく不思議ではありません。

日本は観光立国の4条件をすべて満たす希有な国

先ほどから、日本の観光産業の「潜在力」が極めて高いと述べていますが、もちろんそれには根拠があります。

観光立国には、4つの要因が必要だと言われています。「気候」「自然」「文化」「食事」です。この4つに多様性があることが、「観光大国」になるための条件なのです。

「多様性」が必要な理由は、少し考えていただければわかりますよね。観光客を引きつける魅力がひとつしかないと、それに魅力を感じる人は来ますが、そうでない人はやって来ません。人の好みは千差万別なので、多くの人を呼ぶためには、魅力にも「多様性」が必要なのです。

これを踏まえて日本の「気候」を見てみると、暑いところもあれば寒いところもあります。気候に多様性があるのです。日本人の皆様は意外と自覚していませんが、ビーチで遊ぶことも、スキーをすることもできる国というのは、世界を見てもそれほど多くはありません。

次は「自然」です。田園風景もあれば森、山もあり、そこに生息する鹿、猿、草花などの生物も多様性に富んでいます。「気候」とも関係しますが、立山黒部アルペンルートで10メートルを超える雪の壁を見ることもできれば、沖縄の珊瑚礁の海でスキューバダイビングを楽しむこともできます。

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