「社会主義の機内食」客室乗務員の驚きの対応 80年代アエロフロートで鶏肉以外を希望したら

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しかし、平等が進んでいるヨーロッパの高福祉国家を見るとわかるように、それよりもっと効果的に結果の平等を実現できる方法がある。それは社会保障制度を通じた再分配という方法だ。それには直接的な所得移転という形もあれば、誰もが質の高い「基本サービス」(教育や医療や水など)を同じように享受できるようにするという形もある。

ニーズと能力

不平等を巡る議論はこれまで長いあいだ空回りしてきた。結果や機会のことばかり考え、ニーズや能力に注意を払ってこなかったからだ。

左派は、結果を平等にするのが何より公平なことと考え、人によってニーズや能力が違うことに目を向けなかった。

右派は、機会の平等だけで十分だと決めてかかり、ほんとうに公平といえる競争のためには、必要最低限の能力を全員が持っている必要があり、そのためには所得の再分配や、質の高い基本サービスへのアクセスの保証や、市場における規制といった諸策によって、親の世代に結果の平等がかなりの程度まで実現している必要があるということを見逃していた。

ベジタリアンにも鶏肉を出すのが公平だと考える航空会社の飛行機には誰しも乗りたくない。しかし、客の好みやニーズに合わせた幅広い代替メニューが用意されていても(鶏肉料理だけで、2種類以上あっても)、そのためにほとんどの人には手が出ないぐらい航空券の値段が高かったら、やはり乗ろうという気は起こらないだろう。

(翻訳:黒輪篤嗣)

ハジュン・チャン ロンドン大学経済学部教授

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Ha-Joon Chang

ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)で経済学を教えている。世界を代表する経済学者のひとり。著書に、『ケンブリッジ式 経済学ユーザーズガイド』(東洋経済新報社)、No.1ベストセラーとなった『世界経済を破綻させる23の嘘』(徳間書店)、『悪しきサマリア人(Bad Samaritans)』(未邦訳)などがある。

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