2023年に噴出した「芸能界の闇」今後起こりうる事 旧ジャニーズ、宝塚、歌舞伎界と続いた不祥事
宝塚歌劇団の記者会見では、「伝統の中で守っていかなければならないものもある」「すべてがおかしい、すべてが変えないといけないとは思ってない」といった発言がされたが、これらも批判を集めた。
特殊な感性は許容されても、社会倫理を逸脱した行動は許されない。
文化や伝統は尊重すべきだが、人権のほうが尊重されるべきだ。
そうした考え方が、いまや「常識」とされる時代になってきている。
これまでも「芸能人」は表に立って脚光を浴びる存在であったが、その裏では日の目を見ないままに酷使される人々、パワハラやセクハラの犠牲になる人々が多数いて、声を上げられないでいた。
しかし、現在ではそうした人たちが声を上げやすくなっているし、世論も彼らを支持するようになりつつある。
日本でのタレント契約のあり方は「奴隷契約」
まだ正式には発表されていないが、旧ジャニーズ事務所の新エージェント会社の社長には、女優・のんさんのエージェントを務めるコンサルティング会社「スピーディ」の社長をつとめる福田淳氏が就任すると言われている。
福田氏は、日本でのタレント契約のあり方を「奴隷契約」であるとして、再三批判している。福田氏が新エージェント会社の社長に就任すると、タレントの待遇改善を推進していくことが期待される。
業界をリードする企業の経営者が変わっていくことで、業界全体が変わっていくことも期待される。
ただし、上からの変革に期待するだけでは不十分だ。
所属する組織を超えて、芸能人が所属する組織を問わず、横連携する体制づくりも重要である。アメリカでは俳優の労働組合がストライキを起こし、製作会社側と暫定合意を得るに至っている。芸能人の労働組合的な組織はすでに存在しているものの、雇用側に対して十分な交渉力を持ち得ているとは言いがたい。
ジャニーズの問題も、宝塚の問題も、その背景にはタレント、役者との契約の不備がある。契約のあり方も見直すことが必要であるし、労災保険などの社会保障制度も整備していく必要がある。それを実現するためには、業界内の自助努力に任せるだけでなく、国が指導することも必要になるだろう。
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