アサヒ、キリンの「ジャニ問題」対応にみる課題 テレビなどメディアも含めて問われる人権意識
「まずは僕らが記者会見をして今の状況を説明しないと、皆さんも判断できないと思うんですね。なので今回こういう記者会見を開かせてもらって説明させてもらっています。それで皆さんに判断してもらおうと思っています」
ジャニーズ事務所が元社長・ジャニー喜多川氏(故人)による性加害を認めた9月7日の記者会見。所属タレントのCM起用などで取引関係にある企業への対応を尋ねた記者に、新社長の東山紀之氏は言葉を選びながら答えた。
だが、その「判断」が今のような事態に発展するとは思いもしなかっただろう。飲料大手のアサヒグループホールディングスとキリンホールディングス、日本航空などの企業が続々とジャニーズタレントの広告起用見直しを決めた。
アサヒとキリン、「判断」のプロセス
東山氏は、個別企業への対応について「これからです」と述べていた。だが、その会見中に東京海上日動火災保険が広告契約を更新しない方針を決めたとの報道が流れたくらい、企業による〝ジャニーズ切り〟の判断は早かった。企業の中では、どのような検討が行われたのだろうか。
アサヒがジャニーズ事務所への働きかけを開始したのは8月8日。国連人権理事会の「ビジネスと人権作業部会」の専門家が訪日調査について会見した4日後だった。事務所側に「アサヒグループの意思と要望を伝えるとともに、事実確認や問い合わせ」(同社)を行った。
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