ジャニーズ新会社との契約で問われる「人権意識」 日本の芸能界は特異なパワーバランスが常態化
ジャニーズ事務所は10月2日、再び記者会見を行い「新体制」を発表しました。この会見で衝撃的だったのは、改めて明らかになった被害者の人数です。被害者救済委員会に申し出があったのは478人、そのうち325人が補償を求めているということでした。
海外で日本のジャニーズ問題は、過去のオウム真理教事件にも匹敵するショッキングなものと捉えられています。これだけの被害者を出しながら、長らく明るみにならなかったのはなぜなのかを改めて考えなくてはいけません。二度とこうしたことが起きないようなメカニズムを、メディア業界そして産業界全体で作っていくことが必要です。
「人権観点」で気になること
ジャニーズ事務所は社名を「SMILE-UP.(スマイルアップ)」に変更して補償業務に特化し、補償完了後は廃業するとしています。性加害者の名前を冠した社名から変更し、「法を超えた補償」の可能性も含む体制にすることは人権観点からは評価されます。
被害者救済委員会は元裁判官による構成となっていますが、過去の判例に基づく補償額算出のみが救済の全体像ではありません。補償会社の「業務完了」の定義については人権観点からも気になります。
一方、エージェント形態でのタレントのマネジメント業務を手掛ける新会社を設立し、社名は公募するとも発表がありました。新会社の資本構成は役員と従業員が出資し、ジャニーズ創業一族は関与しないということです。
まず注視すべきは新会社の「人権方針の策定と実施」がどうなるかです。会見では補償会社(スマイルアップ)と同様の方針で臨むとのことですが、今回の経緯を見る限り、事業会社となる新会社ではもう少し踏み込んだ内容が求められるでしょう。
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